最大震度7を観測した熊本地震の発生から1か月が経過した。家屋の倒壊や道路の寸断、大規模な断水など、災害の爪痕が生々しく残る熊本県の被災地で、地震発生直後から支援に当たった宮城県内の関係者が、1日の「防災の日」に合わせて現場の実情や得られた教訓を語った。
避難所で被災者の疲労蓄積を実感
石巻赤十字病院の西條美恵看護師長(48)は、救護班として8月6日から4日間、宇城市の避難所で健康管理や衛生環境の改善に当たった。被災者の健康状態の確認に加え、食事場所やごみ置き場、トイレの動線などを確認。ポリタンクを使った簡易的な手洗い場を設けるよう市に要請したという。
生活環境の大きな変化により、睡眠不足や偏った食事、トイレ事情など様々な理由で被災者が疲労を蓄積させていたという。熱中症の防止に気を使ったが、「避難所も在宅避難者も車中泊の人もかなり暑さにやられていた」と振り返る。市や社会福祉協議会の職員も休まずに支援に当たり、人手が足りない状況に課題を感じたという。西條さんは「被災者の健康を守るという観点から得た気づきを伝えていきたい」と話す。
ドライブスルー方式で給水支援
国土交通省の緊急災害対策派遣隊「TEC―FORCE(テックフォース)」の隊員として、東北地方整備局の斎藤靖・港湾計画課長(56)は8月12~18日、八代市で船舶からの給水活動に当たった。斎藤課長を隊長とした6人は、八代湾に停泊した九州地方整備局の船からホースで被災者が持参した給水袋やペットボトルに飲用水を提供。市内では最大約2万5000戸で上水道が断水していたこともあり、1日約70人が利用した。
猛暑日となる中、八代湾では被災者が車から降りることのない「ドライブスルー方式」で給水を実施。「真夏の災害ならではの難しさと工夫を学んだ」と語る。10年前の熊本地震の経験を生かし、ホースの先端がペットボトルに差し込めるように細く加工されていたことなどを挙げ、「見聞きしたものを生かして東北での活動の役に立てたい」と力を込めた。
応援職員を生かす体制を学ぶ
県農政総務課主事の遠藤航さん(27)は8月17~23日、御船町に派遣され、罹災証明書の発行に必要な住宅の被害認定調査に従事。最大4人の班で、外壁や屋根の状態、傾きを確認し、タブレットに記録した。印象に残ったのは、応援職員を円滑に動かす体制だ。前日に被災者からの申請を地域ごとに整理し、翌朝には班編成や担当件数を決定。各班には町職員が1人ついて運転を担い、応援職員は調査に専念した。説明が難航しそうな場合は、ベテランの職員が出向いた。
朝夕のミーティングで各班が課題を共有。暑さでタブレットが使用不可になると報告があると、翌日には冷却用ファンが配られた。「フィードバックが早かった。10年前の熊本地震の経験からだろう。外から来た職員がすぐ動ける体制を平時から考えておくことが重要だ」と実感したという。
県や市の派遣状況
熊本地震を受けた総務省の応援派遣制度で、県は8月中旬から9月下旬頃まで計46人、仙台市は8月上旬から今月上旬まで延べ11人を現地に派遣する。国土交通省や環境省の応援要請に応じた派遣も行っている。石巻市なども職員を出している。日本赤十字社や東北地方整備局もそれぞれ専門職員を送り、被災者の健康管理や感染症対策、給水作業などの支援を展開している。



