熊本市長選の投開票(11月15日)まで、15日で1か月となった。これまでに現職と新人の計5人が立候補を表明しており、7月の熊本地震からの復旧・復興が争点の一つだ。
概算事業費が倍近くに
「災害はいつ来るかわからず、耐震改修するにしても、新築するにしても、一刻も早く着手しないと市民生活を守れない。昨今の物価上昇を考えると、時間をかければかけるほど経済的にも不利になる」
現庁舎のあり方を協議する「新庁舎整備事業検証委員会」。委員長を務める九州大の塚原健一教授(防災学)は7日の会合で訴えた。
災害時の「司令塔」となる市役所の庁舎。2016年の熊本地震をきっかけに耐震性能に疑問符がついたが、今もその対策は定まっていない。
建て替え計画の行方
築40年超となる現庁舎について、市は23年に建て替える方針を示した。しかし、当初の見通しから膨張した事業費が計画の進捗に水を差した。
24年に公表された基本構想の概算事業費616億円に対し、市が改めて試算して26年に示したのは約1065億~約1230億円。人件費や物価高騰の影響を理由に挙げたが、倍近くに膨れたことに市議会でも批判の声があがった。
このため、専門家で構成する検証委は建て替えにこだわらず、現庁舎の補強による対策も選択肢に含めて議論を重ねている。
市民の疑問と今後の焦点
建て替えに反対する市民団体は約2年前、是非を問う住民投票の実施を求めて約2万筆の署名を集めた。市議会が否決して実施されなかったが、計画に疑問をもつ市民の声は高まっているという。
耐震補強を選んだ場合、合併推進債が使えない可能性があり、市の財政負担が増えることも懸念される。市長選を前に、庁舎のあり方が改めて問われている。