紀伊水害で夫失った久保さん、紙芝居で早期避難の大切さ訴え123回目の講演
紀伊水害で夫失った久保さん、紙芝居で早期避難を訴え

2011年9月の紀伊水害で夫を亡くした那智勝浦町の久保栄子さん(83)が2日、同町の県土砂災害啓発センターで自作の紙芝居を用いて被災体験を語り伝える講演を行った。初演から今回で123回目。濁流にのまれた15年前の恐怖を振り返り、早期避難の大切さを訴えた。

濁流にのまれた自宅、夫は流され死亡

久保さんは2011年9月4日未明、夫の二郎さん(当時69歳)、長女と自宅で濁流に襲われた。久保さんは約100メートル先の道路脇の柵につかまって助かり、長女も自宅の屋根に逃れて無事だったが、二郎さんは流されて亡くなった。町内では28人が死亡、1人が行方不明となった。

被災後の久保さんは2014年10月から、学校や地域の団体などを対象に自作の紙芝居で被災体験を伝える語り部活動を続けている。

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「早めに避難し、自分の身を守ってほしい」

紀伊水害の被害などを伝える同センターにはこの日、防災を学ぼうと県ボランティア連絡協議会のメンバー約30人が訪れていた。

「もがいても、もがいても、水面には出られません」。あっという間に自宅が濁流にのみ込まれる様子、雨どいにぶら下がって助けを求める場面――。生々しい記憶を描いた1枚1枚を示しながら、久保さんは険しい表情で「早めに避難すれば良かったと後悔しても、もう遅い」「近所の人たちも大勢亡くなった」などと説明。身ぶり手ぶりも交え、「自分のような経験をしてほしくない。早めに避難し、自分の身を守ってほしい」と強調した。

講演を聞いた同連絡協議会の佐本綾子会長(73)は「被災時の状況がリアルに伝わってきた。改めて早期に避難する大切さがわかった」と話した。

センター所長が土砂災害の仕組み解説、防災資産に認定

講演前には、木村洋郎・同センター所長が土砂災害の仕組みや紀伊水害での那智川周辺の被害状況などを解説した。こうした同センターと久保さんの語り部活動は2024年9月、優れた防災活動の事例として、国の「NIPPON防災資産」の優良認定を受けている。

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