北海道大学の今年度の入学者のうち、道外出身者が約7割を占めることがわかった。2010年度には入学者の48.3%を道内出身者が占めていたが、今年度は30.1%にまで減少。道外からの進学が増加し、「非道産子」化に拍車がかかっている。
道外出身者が7割に、関東圏からの入学が目立つ
北大の入学者2588人の出身地は、道内(780人)に次いで東京都(336人)、神奈川県(145人)など関東圏が目立つ。開学当初から道外からの人材獲得が進められてきたが、近年はその傾向が強まっている。
北大150年史を編集する大学文書館の広瀬公彦特任助教(40)は「札幌農学校の開校目的は『開拓』の指導者を育てること。道外からの人材獲得は移住を推進する社会状況の一環と考えられる」と話す。
総合入試が人気の一因、道内就職率は過去最低
大手予備校の河合塾によると、北大が道外受験生から人気を集める一因に「総合入試」がある。文系・理系の大きな区分で入学後、2年進級時に学部を選べる方式で、2011年度から導入された。また、東京大や大阪大が後期日程を廃止する中、北大は継続しており、前期日程で不合格となった優秀な受験生の受け皿になっているという。
道内からの進学の減少は、卒業後の道内定着の低迷にもつながっている。2025年度の道内就職率は21.4%で、記録の残る2004年度以降最低だった。
北大奨学・キャリア支援課はその要因として、理系学生が専門性を生かせる就職先が道内に限られていることを挙げる。「地元企業との共同研究や地域課題を考えるプロジェクト型学習などを通し、道内でも活躍できることを広く知ってもらうことが重要」という。
半導体ラボで地域還元を目指す
こうした中、北大は、大学で得た学びを地域に還元してもらおうと、企業との関係強化に努めている。7月、札幌キャンパスに誕生した「半導体プロトタイピングラボ」もその一環だ。半導体の設計から評価まで完結できる施設で、2027年度に予定されるラピダスの千歳工場稼働を前に、道内企業との共同研究も進める。
宝金清博学長は「ラピダスを中心に製造業の集約を図り、卒業後に多くが道外へ出てしまう流れを変えたい」と述べ、道内定着率の向上に意欲を示す。
固体燃料と液体酸素を燃焼させるハイブリッドロケットエンジンの実用化に携わっている糸魚川大和さん(27)は、岐阜県多治見市出身で、工学院機械宇宙工学専攻博士課程3年。北大ならではの研究環境に引かれて入学を決めた一人だ。日本の宇宙研究をリードする「憧れの先生」の永田晴紀教授(61)のもと、学部時代からロケットエンジンの開発に没頭してきた。「広大な北海道ではすぐ近くに実験施設が充実していて、本州の知人に羨ましがられます」と語る。
糸魚川さんは、博士課程修了後も道内に残りたいと考えている。決め手になったのは、宇宙産業に関わる北大発の新興企業「レタラ」(札幌市)の存在だ。高い安全性と燃焼効率を実現したエンジンの大量生産にこぎ着けるため、3年前からレタラでプロジェクトマネジャーとして研究に取り組む。
「育ててくれた北大への恩返しのため、北海道から宇宙産業に貢献したい」と力を込めた。



