広島地検福山支部が、匿名・流動型犯罪グループ(匿流)の関与が疑われる詐欺事件で司法取引を適用していたことが、捜査関係者への取材でわかった。元被告は共謀した人物の特定など事件解明に協力し、公判で執行猶予付きの判決を求められた。
事件の概要と司法取引の適用
地検によると、元被告は昨年7月、複数人と共謀し、広島県福山市内の貴金属買い取り店で、金製品と偽って品物を買い取らせ、代金約160万円をだまし取ったとして1月に起訴された。地検福山支部が元被告と司法取引をし、被害にあった店には司法取引の適用を説明したという。
判決と今後の捜査
その後、地検福山支部は執行猶予付きの判決を求め、広島地裁福山支部は拘禁刑3年執行猶予5年の有罪判決を言い渡した。司法取引で共犯者の検挙につながったかどうかについて、広島地検は「第三者の捜査や処分に関するため差し控える」とした。
塩野谷高・次席検事は取材に対し、「犯罪捜査が困難な状況となる中、引き続き様々な制度を活用して真相解明につなげていきたい」と話した。
司法取引制度の現状
司法取引制度は2018年に導入された。適用対象は贈収賄や薬物・銃器にからむ事件の一部などだが、これまで適用が明らかになっているのは10件に満たない。最高検は昨年10月、匿流も念頭に特殊詐欺など組織的な犯罪の捜査に積極的に適用していく方針を示していた。



