出生時に女性とされたトランスジェンダー男性が、性別変更前に採取した自身の卵子をパートナーの女性に提供し、子どもが生まれた。出産が二人の結婚前だったため、男性と子との間の法的な親子関係は認められなかった。これに対し、子が母親を法定代理人として、男性を法的な「父親」と認めるよう求める訴えを18日、東京家裁に起こした。
遺伝上のつながりがあるが父子関係認められず
卵子を通じて子と遺伝上のつながりがあり、出産後に法的な性別を変更した男性を、法的な「父親」として認めるかが焦点になる。原告代理人によると、こうした趣旨の訴訟は初めてとみられる。
訴状などによると、夫である40代男性は、法的には女性だった2023年に卵子を採取。ドナーの精子提供を受けてパートナーの女性が妊娠し、24年11月に出産した。
性別変更と結婚後の認知届は不受理に
翌月には男性の法的な性別変更が認められ、25年2月に二人は結婚。男性を「父親」と認めるように子の認知届を都内の区役所に出したが、不受理とされたため、認知を求めて提訴した。
一般的に母子関係は母親の出産によって確定し、結婚していれば、母親の夫は子の父親であると推定する決まりがある。だが今回は、出産が性別変更と結婚よりも前だったため、男性と子との間には遺伝上のつながりがあるのに、法的な父子関係が認められなかった。
代理人「当たり前に家族をつくる権利を」
原告代理人の仲岡しゅん弁護士は「特別な権利を求めているのではない。性的マイノリティーであっても、当たり前に家族をつくる権利を実現したい」と話す。
同種の裁判例では24年の最高裁判決がある。判決は、男性から法的な性別を変えたトランスジェンダー女性が自らの凍結精子を女性パートナーに提供して生まれた子について、この女性を「父親」と認めた。



