ドイツ政府は9日、ゲアハルト・シュレーダー元首相(82)がロシアのウラジーミル・プーチン大統領の誕生会に出席したことについて、フリードリヒ・メルツ首相が激怒していると明らかにした。
クレムリンが招待を発表
ロシア大統領府(クレムリン)は8日、シュレーダー氏がモスクワに滞在していることを知ったプーチン氏が、74歳の誕生日を共に祝うため、「旧友」であるシュレーダー氏を招待したと発表した。
この件について問われたドイツ政府のシュテフェン・マイヤー報道官は、メルツ氏が「深く憤慨している」と答えた。
「全く不道徳」とメルツ氏
マイヤー氏は記者会見で、「ウクライナでの戦争の全責任はプーチン氏にある」と指摘した。
さらに「同氏の命令が現地で毎日、計り知れない苦しみを生み出している。民間人の犠牲、引き裂かれた家族、死傷者などだ」と述べた。
その上で、「そのような日にシュレーダー氏がプーチン氏と共に誕生日を祝うことは、全くもって不道徳だとメルツ氏は考えている」と付け加えた。
長年にわたる親密な関係
ロシア大統領府が公開した写真には、笑顔で握手するシュレーダー氏とプーチン氏が写っている。
1998~2005年にドイツ首相を務めた社会民主党(SPD)のシュレーダー氏は、長年にわたりプーチン氏と親密な関係を築いてきた。また、退任後も、ロシア政府系ガス大手ガスプロムで高額報酬を伴う役職に就くなど、ロシアとの深いビジネス上のつながりを維持してきた。
2022年にロシアがウクライナへの全面侵攻を開始して以降、シュレーダー氏とロシアの関係に対する批判は強まった。
シュレーダー氏は、プーチン氏との親密な関係を理由に、ドイツの首相経験者に与えられる特権の一部を剥奪された。
ロシア大統領府によると、シュレーダー氏は今回、ロシアでの新たなビジネス活動の一環としてモスクワを訪れていた。シュレーダー氏は、ロシアでスーパーマーケットチェーンを展開するハイパーグロバスの監査役会メンバーになっていた。
プーチン氏は5月、欧州連合(EU)加盟国に対し、ウクライナ戦争を解決するための仲介役としてシュレーダー氏を起用するよう提案した。しかし、この提案はEU各国に一蹴された。