藤子・F・不二雄さん没後30年、ゆかりの地巡る聖地巡礼ツアーにぎわう
藤子F・Aさんゆかりの地、聖地巡礼でにぎわい

富山県高岡市出身の漫画家・藤子・F・不二雄さんが亡くなって今年で30年。相棒の藤子不二雄(A)さん(氷見市出身)とのコンビが「天使の玉ちゃん」でデビューして75年となる。県内ではファンが集い、2人のゆかりの地を巡るツアーが開かれるなど、「聖地巡礼」のにわかなにぎわいを見せている。

「聖地の中の聖地」卯辰山を訪ねるツアー

9月12日午前、高岡古城公園(高岡市)の小高い丘にガイドの声が響いた。「ここは聖地の中の聖地、卯辰山です」。計18人の参加者は周囲を見渡しながら丘を歩き、世界に名をはせた漫画家コンビの少年時代に思いをはせた。卯辰山は、(A)さんがFさんとの出会いや青春を描いた自伝的作品「まんが道」に「二つ山」として登場する場所だ。

ツアー「まんがの原風景を歩く旅」を企画したのは、高岡市の旅行会社「おむすび旅行」の沢田真弓代表(62)。高岡大仏から北西80メートルに、同社の本社機能も兼ねた甘味処を構える。近くの高岡古城公園や大仏は2人のゆかりの場所とあって、店にはファンが多く訪れる。その姿を見て「2人の出身である県内で、ファンが交流する場があれば面白い」と発案した。

ゆかりの場所を巡り、ファンが交流

ツアーでは、2人が通った旧定塚小学校(現高陵小、高岡市)や旧文苑堂書店高岡駅前店(現セカイホテル、同市)を巡った。Fさんが子どもの頃に住んだ家の跡地に立つ交流施設「定塚ギャラリー」(同市)、(A)さんの生家・光禅寺(氷見市)などにも立ち寄った。

参加者のうち7人は岐阜、東京など県外から駆けつけたファン。金沢市の老人ホーム職員の男性(48)は「いつか行きたかった場所を訪れることができ、生活の様子を感じられた」と喜んだ。

ギャラリーの入館者数、過去最多を更新

「聖地巡礼」の熱は数字にも表れている。Fさんの原画を展示する高岡市藤子・F・不二雄ふるさとギャラリーは、昨年度の入館者数が6万1633人と過去最多を更新。今年度も9月30日時点で3万9955人と高水準だ。半数以上が県外客で、全体の約1割は外国人。8月下旬にギャラリーを訪れた中国・成都の女性(19)は「故郷で原画が見られて幸せだ」と展示をじっくり見ていた。

(A)さんの原画を飾る氷見市潮風ギャラリー(中央町)も好調で、市商工観光課によると2025年度は2万8175人を数え、最多記録を塗り替えた。2人のファンクラブ「F&(A)の会」の野沢昌弘事務局長(65)は「全国のファンが2人のふるさとで交流するのを目標にしているので、来てくれるのはありがたい」と喜んでいる。