山口市東部の徳地地域で、明治時代から100年以上続く菓子店「なかや菓子店」を営む4代目代表の松尾順子さん(48)は、寂れた商店街に活気を取り戻そうと、伝統を守りながらイベント出店やネット販売など新たな販路の拡大に挑戦している。
最盛期は100店舗以上が軒を連ねた商店街
店舗を構えるのは、かつては多くの商店が並び「徳地随一の繁華街」として栄えた島地商店街の中心部。現在はほとんどの店が閉まり、空き家も目立ち始めている。松尾さんは「この道も随分と寂しくなりました」と、人通りがほとんどなくなった店舗前の道を見つめ語る。
最盛期は100店舗以上が軒を連ね、買い物客らでにぎわったという。数十年前でも酒屋や文具店など10軒程度は営業していた。
地域に育てられた幼少期、祖母の跡を継ぐ
松尾さんは幼い頃から、祖父母や両親と一緒に店舗に隣接する自宅で暮らしていた。自宅から一歩出れば買い物客らの姿があり、近所の人が声を掛けてくれたり、家に招いてテレビを見せてくれたりした。両親や祖父母は店の営業などで忙しかったこともあり、「地域の人たちにすごくかわいがってもらった」と振り返る。
医療機関で事務などを担っていたが、3代目を務めていた祖母が高齢となったため、2019年に42歳で店を継いだ。その頃には周囲の店はほとんど閉店しており、菓子店だけで生計を立てられるのか不安だったが、「まんじゅうなど先祖代々の味を途絶えさせたくない」という気持ちが強く、迷いはなかった。現在は、夫の貴仁さん(52)と2人で店を営んでいる。
高齢化で変わる客層、新たな販路の模索
祖母の時代は常に店を開けており、用事がなくても近所の人が訪ねてくるような地域のよりどころだった。しかし、高齢化や人口減少が進む中、地元の客だけでは店が立ちゆかなくなるのは時間の問題だと感じた。



