運送業者など向けの軽油販売で価格カルテルを結んだとして、独占禁止法違反(不当な取引制限)の罪に問われた石油販売5社の初公判が3日、東京地裁(福島直之裁判長)で開かれ、いずれも起訴内容を認めた。
起訴されたのは、東日本宇佐美(東京都文京区)、ENEOSウイング(名古屋市)、エネクスフリート(大阪市)、キタセキ(宮城県岩沼市)、共栄石油(東京都江戸川区)の5社。
2024年10~12月に計3回の会合で価格引き上げ合意
起訴状などによると、5社などの担当者は共謀し、2024年10~12月の各月、都内の飲食店で計3回会合を開催。都内の運送業者などに販売する軽油の価格について、前月から1リットル当たり2~2.5円引き上げることなどに合意し、価格競争を制限したとされる。この間の市場規模は約463億円で、各社で8割超のシェアを占めていたという。
検察側の冒頭陳述によれば、業界では遅くとも12年11月から各社の担当者が販売価格などを協議する会合が地域ごとに毎月開かれてきた。東京では、25年2月に公正取引委員会が長野県内のガソリンの価格カルテル疑惑をめぐり立ち入り検査をしたのを機に、協議を電話などで行うようになった。この3カ月後に神奈川県内の軽油の価格カルテル疑惑で同様に立ち入り検査があった後は、協議自体が取りやめられたという。
特捜部は8社を捜査、3社は起訴せず 担当者個人も不起訴に
東京地検特捜部は公取委とともに5社を含む8社について捜査を進め、関与の程度などから3社は起訴しなかった。5社の起訴にあたっては、実際にカルテルを担った各社の担当者個人の刑事処分についても検討。担当者は社内の特定の立場に異動すれば業務としてカルテルに関わらざるを得なかった点や、いずれも関与を認めている点を考慮し、独占禁止法の規定が個人ではなく法人を処罰対象とする趣旨であることも踏まえ、起訴を見送った。
カルテルによって業者間の自由な競争が妨げられると、本来は競争によって下がるはずの販売価格が高止まりする。軽油をトラックなどの燃料に利用する運送業者にとってはコストの増加につながり、増加分がサービスやモノの価格に転嫁されることで、ひいては市民生活に影響を及ぼす可能性がある。



