成田空港周辺の開発用地などへの出資を募る不動産投資商品「みんなで大家さん」を巡り、大阪府と東京都は1日、事業者の「共生バンク」(東京都)のグループ会社で、運用と販売を担う2社に対し、事業許可取り消しの行政処分を行った。出資者から2000億円超を集めた「大家さん」事業は終了することになる。
2000億円超の出資金、返還は困難
処分を受けたのは、商品の運用会社「都市綜研インベストファンド」(大阪府)と販売会社「みんなで大家さん販売」(東京都)。
「ファンド社」は8月に公表した2026年3月期決算で、収益源である不動産の賃貸収入の入金の遅れで収益性が低下したことなどを理由に、土地の評価額を10分の1以下の257億円に下げるなどし、2881億円の債務超過に陥ったと公表していた。
「大家さん」を巡っては出資者から出資金の返還請求が相次いだ。大阪府建築振興課によると、未返還の出資金は延べ約7万2500人の計1900億円に上る。だが、同社の現金預金残高は約9000万円しかなく、保有する土地や預金も差し押さえられていることなどから、府は「期日までに全部を返還することは極めて困難」と判断し、事業許可取り消しを決めた。
販売会社も許可取り消し、事業終了へ
東京都も、法律に定められた出資者への説明義務を果たさないまま商品を販売したなどとして、「大家さん販売」の事業許可を取り消した。
共生バンクは同日、「行政処分を極めて重大なものと受け止める」などとするコメントを発表した。
「大家さん」の主力商品「シリーズ成田」では、成田空港周辺の開発用地にホテルや展示場などを建設するとうたい、1口100万円から投資を募り、年利7%の利回りをアピールして約1560億円の出資金を集めた。
だが、昨年7月から出資者への配当が遅延し、土地の造成も完了時期の延期を繰り返していた。開発用地45万6000平方メートルの造成は、用地の約4割を所有する成田国際空港会社(NAA)が昨年11月、賃貸借契約を終了し、開発継続は事実上不可能に追い込まれていた。
出資者から怒りの声、行政の対応に批判も
事業許可の取り消しを受け、NAAは読売新聞の取材に対し、「コメントする立場にない」とした。土地造成の開発許可を出した成田市都市計画課の担当者は「不動産特定共同事業法に関することなので、話せる立場にない」と回答した。
出資者からは憤りと失望の声が上がる。「シリーズ成田」に100万円を出資した東京都の60歳代男性は昨年8月に解約を申し込んだが、いまだに返金はない。男性は「事業者は『時間が必要』『資金調達を進めている』といった説明を繰り返してきたが、具体的な資金調達方法は示されず、強い疑いを感じた」と憤る。「残余の財産があるなら、出資者に可能な限り公平に分配してほしい」と訴える。
500万円を出資した40歳代男性は「事業者には『金を返せ』と言いたい。責任も負わずに逃げられてしまうと本当に悔しい」と嘆き、「行政には同じ手口が再発しないよう、法令や手続きの見直しを求めたい」と話した。



