学校法人同志社が公開した特別調査委員会の報告書により、同志社国際高校のボート事故をめぐり、設置者である学校法人同志社に安全配慮義務違反があったと認定されたことが明らかになった。報告書は、事前調査を行う義務、安全を確保した研修旅行計画を策定・実施する義務、生徒と保護者への事前説明義務のいずれにも違反したと判断している。
事前調査の欠如と「盲目的な信頼」
報告書は、辺野古ボートコースのような海上活動は転覆や落水、急な天候悪化による事故が一度起きると重大な被害につながりやすい高リスク活動だと指摘。その上で、同校が旅行会社を介さずに船長へ直接依頼した独自プログラムであり、下見をしなければ危険を判断できないにもかかわらず、導入や実施に先立つ現地調査を行わなかったと述べている。
実施された事前調査は、船長が操縦すること、船舶免許の保有、定員が10名程度であること、人数分の救命胴衣が備えられていることの確認のみで、最も重要な下見は一度も行われなかった。報告書は「根拠のない盲目的な信頼」の下で導入を決定し、インターネット上の情報や著書の確認といった容易な調査にも着手した形跡がないと指摘。事故が発生していないことから安全であるという「合理的根拠のない思い込み」で継続を決定したとして、学校として必要な事前調査が尽くされていたとは認められないと結論づけた。
形骸化した危機管理体制と組織風土
安全を確保した研修旅行計画を策定・実施する義務については、同校の危機管理マニュアルに校外活動全般の記載がなく、事前の危機管理に関する記載が一切定められていない不備が認められた。また、同校および学校法人同志社では、危機管理委員会などのリスク管理を担当する機関が形骸化し、ほとんど機能していなかったと評価されている。
事故の原因として、第三者委員会は①2025年度の実施にあたっての安全管理体制等の不備、②リスク管理体制等の機能不全、③安全管理に関する検証を妨げた組織風土、④安全管理に関する意識の欠如を指摘した。報告書は、安全配慮義務違反の具体的な内容として、辺野古ボートコースの事前調査義務、安全性を確保した研修旅行計画の策定・実施義務、生徒と保護者への事前説明義務の三つを挙げている。



