死刑囚が弁護士に宛てた再審請求の依頼などに関する相談の手紙を拘置所に読めないようにされたとして、国に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(堺徹裁判長)は9日付の決定で原告側の上告を棄却した。拘置所の対応は違法だとして、国に8万8000円の賠償を命じた2審・大阪高裁判決が確定した。
事件の背景と経緯
原告は、2015年に大阪府寝屋川市で中学1年の男女2人が殺害された事件で死刑が確定した山田浩二死刑囚(56)。山田死刑囚は、弁護士との信書往来の中で再審請求に関する相談を行っていた。しかし、大阪拘置所はこれらの手紙の一部を塗りつぶすなどして、内容を読めないようにした。
2審の大阪高裁判決は、山田死刑囚が弁護士に出した手紙4通について、刑事収容施設法で信書のやり取りが認められる内容だったにもかかわらず、大阪拘置所が一部を塗りつぶしたのは違法と判断した。この判決に対し、国側が上告していたが、最高裁が上告を棄却したことで、賠償命令が確定した。
法解釈と影響
刑事収容施設法では、受刑者と弁護士との間の信書は、再審請求など法律相談に関する内容であれば、原則として制限されない。拘置所側は、手紙の内容が施設の秩序を乱す恐れがあるなどと主張したが、裁判所はこれを認めなかった。
この判決は、死刑囚を含む受刑者の弁護士との通信の権利を明確にした点で意義がある。弁護士との自由なコミュニケーションは、再審請求などの法的救済を受ける権利の根幹をなすからだ。
今後の展望
最高裁の決定により、拘置所は今後、受刑者と弁護士の間の信書を検閲する際に、より慎重な対応が求められる。特に、再審請求中の死刑囚については、通信の自由が最大限尊重されるべきとの認識が司法によって示された。
山田死刑囚側は、今回の判決を評価しつつも、再審請求の手続きを引き続き進めるとしている。一方、法務省は判決内容を精査し、今後の施設運営に反映させる方針だ。



