公職選挙法が未成年者の選挙運動を禁止し、罰則を科しているのは憲法違反だとして、17~20歳の4人が国を相手に損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁が9月25日に判決を言い渡す。この禁止規定は70年以上前に定められ、見直されてこなかった。裁判所はどんな判断を示すのか。
「目の前で何もできないまま」原告が法廷で訴え
「目の前で何もできないまま、自分の未来に大きな影響を与える国の方向性が決まっていく恐ろしさを想像してほしい」
今年7月、東京地裁の法廷。原告の一人で大学2年生の角谷樹環(かどやこだま)さん(20)は、裁判官たちにそう訴えた。
角谷さんは2022年の参院選で有志プロジェクトに参加し、候補者に気候変動対策について聞き、その内容を公開しようとした。だが、当時はまだ15歳。プロジェクトの実行委員から「未成年者が特定の候補者を応援しているとみなされれば、法律に反する可能性がある」と指摘され、諦めた。
「処罰されるかもしれないと知り、怖くなってしまった」と角谷さんは振り返る。他の原告3人にも似た経験があるという。選挙運動のボランティアをしようとして断られたり、特定の候補者を応援する内容をブログに書こうとして、やめた方がよいと言われたりした。
学校の授業と現実のギャップ
学校の授業やメディアでは「若者も政治に興味をもち、関わるべきだ」といったメッセージが繰り返される。ところが、現実の選挙の場で活動をしようとすると、公選法の壁が立ちはだかった。
4人はいずれも高校生だった25年、選挙運動ができる地位にあることの確認や、1人あたり10万円の国家賠償などを求めて東京地裁に提訴した。
国の説明は「未成年者を保護」というものだ。最高裁の判例によると、選挙運動の自由は重要な権利だが、未成年者についてはその判断能力や経験の未熟さを考慮し、保護の観点から制限が認められてきた経緯がある。



