関東1都6県のマンションの大規模修繕工事171件で談合したとして、独占禁止法に基づき、設計コンサルタントの翔設計(東京)とリノシスコーポレーション(大阪)の2社と施工会社40社が公正取引委員会から摘発された。38社が再発防止へ排除措置命令を受け、施工37社が計約16億3千万円の課徴金納付を命じられた。
住人側に立つべき専門家の背信
十数年に一度行われる大規模修繕は億単位の工事で、専門知識を要する。専門外の住人で構成する管理組合にとっては困難な事業だ。多くの管理組合は、専門家であるコンサルと契約し、業者選定の補助やチェックを依頼する。コンサルは住人の側に立つ専門家のはずだが、管理組合の予算を施工業者に漏らし、談合に加担した。住人側は割高な工事を強いられた可能性があり、許し難い裏切り行為だ。
全国規模の不正、厳しい調査が必要
談合で受注した工事総額は数百億円規模に上る。背信のコンサルは、受注業者から受注額の5%程度を受け取っていた。施工業者から金銭を受け取るコンサルの存在はかねて問題化しており、国土交通省は注意を促していた。管理組合にもチェック態勢強化と自衛を呼びかけてきたが、複数業者の競争自体が談合で仕組まれ、コンサルまで業者と結託されたら、住人は何を信じればいいのか。
マンション大規模修繕工事で公取委が行政処分を科すのは初めてだ。談合が多数の工事に及び、住人側に立つべき専門家まで加担した悪質性に鑑みれば、刑事告発も検討すべきだったのではないか。東海地方でも談合の疑いがあり、公取委は7月にコンサルと施工会社に立ち入り検査している。不正は全国規模とみられ、厳しい調査が必要だ。
再発防止策の普及が急務
国交省は昨年、談合した業者に管理組合へ違約金を支払わせる特約の導入を促した。談合を抑止し、被害回復を容易にする仕組みで、普及を急ぐ必要がある。築40年以上のマンションは全国で約150万戸に達し、今後も急増していく。修繕の必要性は一層増し、居住者の高齢化も進むことから、専門家への依存は強まらざるを得ない。今回の事件を「171件」だけの問題にしてはならず、修繕を食い物にする不正を許さない仕組みを築くことが求められる。