蹴つまずいて割れた石からチョウ化石、現生種で世界最古と判明
蹴つまずいて割れた石からチョウ化石、世界最古と判明

兵庫県新温泉町にある約250万年前の地層から産出されたチョウの化石が、現在は中国の北部・北東部にのみ分布する「ポターニンミヤマシロチョウ」の化石だったことが慶応義塾幼稚舎の高橋唯教諭らによる研究でわかった。現生種のチョウの化石としては世界最古といい、町教育委員会は「化石のまちとしてアピールしていきたい」としている。

化石発見の経緯

化石は、NPO法人「上山高原エコミュージアム」代表理事の馬場正男さん(75)が1990~91年頃に発見。新温泉町千谷の「おもしろ昆虫化石館」で〈モンシロチョウ〉の化石として展示されていた。

昆虫は貝などに比べてもろいため、きれいな形で化石として残ることはめったにないとされる。その存在を知った高橋教諭が標本を借りて研究に着手。昆虫化石の研究者である相場博明さんと、チョウの分類が専門で進化生物学研究所の斎藤光太郎さんとともに調べた結果、翅(はね)にある筋「翅脈(しみゃく)」などの特徴からミヤマシロチョウ属であることがわかった。

研究の成果と意義

さらに、現在生息している同属の約40種と翅の細かい特徴を比較。現在、日本国内にはいないポターニンミヤマシロチョウと一致し、7月に国際的な古生物学会の学術誌(オンライン版)に研究成果を掲載した。

現生種のチョウの化石で最も古いとされていたのは、栃木県で見つかった約30万年前のゴマダラチョウだった。これを大きく遡ることになり、高橋教諭は「チョウは進化の速度が速いと言われているが、何百万年も姿形が変われない例があることがわかった。新種の発見より価値がある」と話す。

発見者の回想と期待

馬場さんは当時、旧温泉町教育委員会の職員で、化石の包蔵地がマニアに掘削されるのを防ぐため、柵を設置する工事の現地調査中だった。そこで蹴つまずいた石が割れ、中からチョウの翅の化石が出てきたといい、「(発見は)偶然です」と振り返る。

約35年の時を経て世界最古の化石だったことが判明し、「きれいな化石だと思っていたけど、それだけ価値のあるものだとは。本当に驚いている」と馬場さん。「新温泉町の活性化に大いに役立ててほしい」と期待を込めた。