独ベルリンの劇場が14日、敷地内に設置した屋外プールを半日間、黒人の子どもや若者だけに開放する計画を中止した。反発や「人種差別的な扇動」による安全上の懸念を理由として挙げている。
計画の概要と中止の経緯
公立劇場「フォルクスビューネ(国民劇場の意)」と反人種差別団体「Each One Teach One(EOTO)」は、黒人の「子ども、若者、およびその家族」を対象としたこのイベントを、「構造的に不利な立場にあるグループを支援するための前向きな措置」として計画していた。
だが、この計画がメディアによる扇動的な報道を招いたほか、人種差別的なメールや暴力の脅迫が寄せられ、安全上の懸念が高まったという。
関係者の反応
同劇場の新芸術監督を務めるマティアス・リリアンタール氏は最近、今夏の8週間にわたるプールプロジェクトを開始。オンラインで無料の利用枠を予約できる仕組みで、一部の日程はパートナー団体向けに確保されていた。
そのパートナー団体の一つであるEOTOは、黒人やアフリカ系ディアスポラの背景を持つ人々向けのプログラムを運営する公的資金による支援を受けた団体。
極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」などは、ベルリン市が運営する公立劇場が設置したプール「フォルクスバート(国民プールの意)」でこの特別プログラムが実施されることに強く反対した。
政治家の批判と劇場側の声明
AfDのアリス・ワイデル共同代表はX(旧ツイッター)への投稿で、「アパルトヘイト(人種隔離)をドイツの手本にするつもりか? 税金で賄われるアートプロジェクト『フォルクスバート』で、白人の立ち入りが一時的に拒否される」「これは一体どういう意味なのか? このようなイベントへの税金投入は直ちに削減されるべきだ!」と批判した。
地元の保守派政治家アイリーン・ワイベラー氏もインスタグラムで、「本当に奇妙で差別的な感覚だ」と主張。「ベルリンは住みやすく、多様で、カラフルで自由な都市だ」「それなのになぜセーフスペースが必要なのか? 正直なところ、よく分からない」と述べた。
劇場とEOTOは、イベントが「右派や人種差別主義者による扇動の標的となった」ことを受け、安全上の懸念から中止を決断したと発表した。
リリアンタール氏は、イベントは中止となったが、「私たちは当然ながら、構造的に不利な立場にある人々のための前向きな取り組みを今後も提供し続ける」「今日、そして毎日、人種差別主義者や右派からの敵意にさらされているすべての人々と連帯していく」と述べた。
ベルリン市の反差別担当官カンセル・キジルテペ氏は、このプロジェクトに対して巻き起こった「過熱した敵意と脅迫のキャンペーン」を非難し、「人種差別や排除は黒人にとって日常の一部だ」と強調した。



