神戸地裁で今年3月、関税法違反(虚偽申告)などの罪に問われた堺市北区の食料品輸出入業会社の代表者(40代)に対し、懲役2年6カ月、罰金200万円、執行猶予4年の判決が言い渡された。判決によると、2023年8月、冷凍の国産牛肉約7.4トンの輸出を神戸税関に申告する際、本来の輸出先が香港であるのにタジキスタンだと偽り、神戸市内の港から香港行きの船に積ませて輸出するなどした。
香港のブローカー「フク」との出会い
公判で貿易商は犯行を全面的に認め、事件に至る経緯の一端も明らかになった。検察側の立証内容などによると、はじまりは2014年ごろ、香港出張中に食肉ブローカーの「フク」と名乗る男性と出会い、日本産牛肉のタジキスタンへの輸出を持ちかけられたことだった。検察側は、フクは日本人ではない香港在住者とみていたが、事情聴取は実現しなかった。詳しい素性は明らかになっていない。
貿易商はフクと親交を深め、勧められるまま、税関で輸出先をタジキスタン、取引先を現地の会社と申告し、自社で取り扱う国産牛肉の輸出を繰り返すようになった。当時は「単にビジネスチャンスだと考えていた」という。ただ、代金はいつも香港から振り込まれ、次第に「牛肉はタジキスタンに届いていないのでは」と疑い始めた。
タジキスタン輸出統計との関連
中央アジアの山岳地帯にあるタジキスタンは、国土が日本の約4割、人口約1千万人の小国で、近年は日本の国産牛肉の世界有数の輸出先になっていた。ところが、2024年5月を境に輸出が途絶えた。同じ頃、神戸税関が、この貿易商の調査を進めていた。
輸出先をタジキスタンだとしていた貿易商の申告は、農林水産省が公表している日本の輸出統計とリンクしているように見えた。記事後半では農水省に見解を聞いている。



