2021年7月に静岡県熱海市で発生し、28人が犠牲となった土石流災害をめぐり、遺族や被災者ら約130人が県や市、盛り土周辺の土地の前・現所有者らに約43億4600万円の損害賠償を求めた訴訟が17日に結審した。裁判では責任の所在に加え、被害の予見可能性や行政対応の妥当性などが争われた。
盛り土の計画高さは15メートル、実際は45メートル超に
土石流は、伊豆山地区の逢初川源頭部の谷間に造成された盛り土が崩壊したことで起きた。県が設置した第三者委員会の報告書などによると、盛り土は、神奈川県小田原市の不動産会社が土地を取得した後の2007年から始まった。2011年2月には現在所有する別の不動産業者が土地を買収し、新たな大量の残土搬入はなくなった。
盛り土の高さは、計画段階では15メートルだったが、2011年時点で45メートル超に達していた。この大量の盛り土に、大雨による雨水や地下水が流入して土石流が発生したという発災原因については、原告・被告の間で大きな争いはない。ただ、その危険性を誰が予見し、災害を防ぐ義務を負っていたかをめぐって主張が対立している。
土地の前・現所有者の責任が争点に
裁判では土地の前・現所有者の責任が主な争点となっている。原告側は、盛り土の危険性を認識できたにもかかわらず適切な対策を取らなかったと主張しているとみられる。一方、被告側は、当時の状況や行政の指導などに基づき、予見可能性がなかったと反論しているとみられる。
行政側の対応も争点の一つだ。県や市が盛り土の危険性を把握しながら、適切な是正指導を行わなかったのではないかという点が問われている。結審を受け、判決がいつ言い渡されるかは明らかになっていない。



