中米エルサルバドルにあるイロパンゴ火山を望む盆地には、5~6世紀ごろの巨大噴火で埋まったサン・アンドレス遺跡が眠る。草を払い、即席の日よけの下で、長柄のスコップで掘り続けると、白い火山灰層が現れた。
「意外と早く復興したのではないだろうか。人間は強くしぶとい」。名古屋大特任助教だった国立民族学博物館の市川彰准教授(47)は、発掘で土器や建築技術を目にして、そう思った。
噴火から復興まで、従来説より大幅に短期間
この噴火は、規模の目安となるVEIで6以上。地域は厚い火山灰に覆われて、壊滅的な状態になったはずだ。人間が生活できる環境ではなくなり、文明社会の核となる公共建築物が建造されるまで100年以上、都市が再建されるまでは数世紀かかったという説が有力だった。世界規模の寒冷化も起きて、地中海や中国では不作や疫病で人口が減少したとも言われている。
だが、2015~19年の市川さんらの発掘で、噴火前と同じタイプの土器などが見つかった。年代測定から、噴火後5~30年、遅くとも80年以内には人間が戻り、宗教的な意味があるとみられるピラミッド状の盛り土をした公共建築物を造り始めていたと考えられることが分かった。しかも、噴出した大量の火山灰に水分を含ませて固め、建築材料に使っていた。
火山灰を建材に利用、人々の結びつき強化か
この建設事業が人々の結びつ…



