島根県立大学2年生の松本叶夢さん(22)は、小学校時代から「できるくせにやらない子」と周囲に言われ続けてきた。読書や書道が得意で、テストは早く終えて高得点を取る一方、忘れ物が多く、作文はひらがなばかりだった。周囲の理解を得られないまま、中学校2年生になって初めて原因が判明した。実は視野の上下がぼやけ、真ん中の一部しか見えていなかったのだ。
横書きの文章は1、2行ずつ読めるが、縦書きは1行全体が見えず、見えた部分から前後を推測して補完していた。天候や窓際の光によって見え方が日々変わるため、同じように見えていると思い込んでいたという。小学校時代の教諭は「デジタル教科書があれば、自分に合った使い方を見つけられたかもしれない」と振り返る。
松本さんは障害や病気のある子どもや若者を支援するプロジェクト「DO-IT Japan」の2020年度スカラー(選抜者)に選ばれた。同プロジェクトはインクルーシブな社会の実現を目指し、2026年度に20期生を迎える。松本さんは三つ目の高校でようやく自分に合った環境を見つけ、読書の喜びを取り戻したという。



