「アポロ計画」や「ハレー彗星」の宇宙切手2万枚、明石市立天文科学館に寄贈
宇宙切手2万枚を明石市立天文科学館に寄贈

壮大な宇宙へのロマンが小さな紙片に凝縮された「宇宙切手」約2万枚が、兵庫県明石市立天文科学館に寄贈された。「アポロ計画」や「ハレー彗星」など、時代時代の人々の話題をさらったコレクションの一部は、すでに公開されている。

約半世紀にわたる収集、妻が遺志を託す

コレクションしたのは、元弁護士の永野周志さん(2024年、75歳で死去)。多くは外国製の切手で、妻のこずえさん(75)(神戸市)が「夫の生きた証し。夢の世界を次代を担う子どもらに見てもらいたい」と、昨年12月にアルバム41冊(約1万6000枚)と箱などに入った未整理の切手約4000枚を寄贈した。

永野さんは主に知的財産や特許を扱う弁護士として活躍。九州大学客員教授を務めたほか、知財関連の著書も多い。切手収集は約半世紀にわたり、海外出張の際やインターネットのオークションなどを通じて購入していた。

時代を映す切手の数々、一部は展示中

寄贈された切手には、世界中を沸かせた人類初の月面着陸(1969年)を成し遂げたアポロ計画や、76年ぶりの最接近で一大ブームを巻き起こしたハレー彗星(86年)のほか、世界で初めて探査機が月面着陸した旧ソ連の月探査「ルナ計画」、第2次世界大戦中にナチス・ドイツが開発した「V2ロケット」の切手アルバムも含まれる。

一部の切手は、関連の常設展示に添える形で公開されており、鈴木康史副館長(55)は「新しい物では、2022年のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測を記念したトーゴ共和国の切手もあり、変わらない情熱を感じる。遺志をしっかり受け継ぎ、思いを伝えるよう大切にしたい」と話している。

こずえさんによると、永野さんは口数の少ない人で、切手の趣味についても多くを語らなかったという。永野さんが幼少の頃、グリコのおまけが切手だった時期があり、それが切手との出会い。大学の頃から本格的に宇宙切手を集めるようになったという。

「何か自分のお気に入りの切手が手に入ると、にんまりして、まるで子どものように喜んでいたのを思い出します。宇宙に興味があったけど、行けないから、切手に夢を託したのではないでしょうか」。がん闘病中のこずえさんは、病床で亡き夫の思いを代弁した。