精神科医の和田秀樹氏(『老人は「キレる」くらいでちょうどいい』著者)は、老後の幸福感を左右する最大の要素はお金や社会的地位ではなく、脳内の神経伝達物質「セロトニン」であると指摘する。セロトニンは「幸せホルモン」の一種で、感情の安定や衝動の抑制に不可欠だという。
セロトニン不足がもたらすリスク
和田氏によれば、前頭葉の働きを高めるには複数の神経伝達物質が必要で、意欲にはドーパミン、集中力にはノルアドレナリンが関与する。一方、感情の安定や「キレやすさ」を左右するのはセロトニンだ。この物質が前頭葉の神経細胞に十分届けば、不快な出来事があっても怒りを抑えやすくなるが、不足すると情動のコントロールが難しくない、キレやすくなるという。
また、セロトニンの欠乏は幸福感の低下だけでなく、うつ病のリスクを高めることも知られている。和田氏は「脳内でセロトニンが多く分泌されればハッピーな気持ちになりやすく、少なければ不安を抱きやすくなる」と説明する。
お金や地位では補えない幸福
和田氏は、経済的にも社会的にも恵まれた立場にあっても、セロトニンが枯渇すれば幸福感を得にくくなると警告する。「いくらお金があっても、不安にさいなまれて苦しい日々を過ごす」と述べ、物質的な豊かさだけでは真の幸福は得られないと強調する。さらに、セロトニンはドーパミンやノルアドレナリンの働きを調整する役割もあり、前頭葉の活性化に欠かせない物質だとしている。
セロトニンを増やす方法
記事では、セロトニン分泌を促す方法として、特定の食材の摂取が推奨されている。関連記事『不足すると老後うつが待ち構える…和田秀樹「幸せホルモン分泌のために食べたいスーパーにある食材」』では、身近な食材に含まれる成分が前頭葉の働きや幸福感を高めると紹介。特に、従来「悪玉」とされたコレステロールを含む食品が、セロトニン生成に重要だという。和田氏は「コレステロール値は気にするな」と述べ、2015年に厚生労働省がコレステロール摂取基準を撤廃した方針転換を支持している。
本稿は、和田秀樹氏の著書『老人は「キレる」くらいでちょうどいい』(集英社インターナショナル)からの抜粋である。



