夏の暑い日、つい手を伸ばしてしまうスポーツドリンク。しかし、肝臓と腎臓の専門医である栗原毅院長(栗原クリニック東京・日本橋)は、これが肝機能・腎機能に重大なピンチを招きかねないと警告します。特に、降圧剤や血糖降下薬を服用中の人は、急性腎障害のリスクが高まるため注意が必要です。
薬の「下げすぎ」が急性腎障害を引き起こす
急性腎障害は、薬の服用によっても起こることがあります。特に注意すべきは、高血圧で降圧剤を飲んでいる人や、糖尿病で血糖値を下げる薬を飲んでいる人です。薬によって血圧や血糖を下げすぎると、血流量が大幅に低下し、急性腎障害を発生させるケースが目立ちます。
降圧剤で血圧を下げすぎると、血液を十分に循環させることができなくなり、立ち上がったときにフラフラしたり、急に意識が遠のいたりするようになります。同様に、血糖値を下げすぎた場合も、低血糖で脳に糖が行き渡らなくなり、頭がクラッとしたり意識レベルが低下したりします。車の運転中や階段、駅のホームなどでそんな事態に陥れば大事故につながりかねません。
夏場は特にリスクが高まる
夏場は発汗によって体内の水分が少なくなり、薬の濃度が上がり、薬がより効きやすい状態になっています。脱水気味のときに血圧や血糖の薬を飲むと、いつもより余計に下がってしまい、「下げすぎによる症状」が現れやすくなります。こうした状態に陥ると、腎臓を巡る血液量も一気に減るため、急性腎障害を起こすリスクがグッと高まります。
腎機能を守るにはこまめな水分補給を
高血圧や糖尿病は慢性腎臓病を引き起こす「原疾患」とされているため、腎機能に不安を抱えている方も少なくありません。栗原院長は、この夏「脱水」とともに「薬による血圧や血糖の下げすぎ」にも十分に気をつけ、急性腎障害から身を守るよう呼びかけます。
ただし、水分摂取に関しては例外もあります。慢性腎臓病が悪化して人工透析目前のG5の段階になると、腎機能がほぼ停止し、体内の水分をうまく調節できなくなります。この段階の方は「水分制限」が必要なため、医師の指示に従ってください。しかし、それ以前の段階の方は脱水リスクを避けるため、こまめな水分摂取が欠かせません。「腎機能を守るには体から水分を枯らしてはいけない」と肝に銘じてください。
「水代わりにスポーツドリンク」は絶対にNG
スポーツドリンクは糖分や電解質が含まれており、水代わりに飲むと肝臓や腎臓に負担をかけます。特に、肝臓は糖代謝を担い、腎臓は電解質バランスを調整するため、過剰な摂取はこれらの臓器にダメージを与える可能性があります。栗原院長は「スポーツドリンクは運動時など必要な場合に限り、普段の水分補給は水か麦茶が適切」とアドバイスしています。



