創薬推進で感染症有事に備えよ 国内確保体制の整備を
創薬推進で感染症有事に備えよ 国内確保体制の整備を

厚生労働省は令和9年度予算の概算要求で、感染症有事に備え、治療薬やワクチンの開発・確保に向けた国内投資の強化を重点的に盛り込んだ。エボラ出血熱の国内発生や、抗菌薬が効きにくい「薬剤耐性菌」の流行など、懸念される事態に備えて企業の創薬やワクチン開発などを支援する。

国内確保体制の整備が経済安全保障上重要

日本が治療薬やワクチンを国内で確保できる体制を平時から整えておくことは、経済安全保障上、極めて重要だ。「ワクチン敗戦」ともいわれた新型コロナ禍での対応の遅れを、教訓として生かさねばならない。

創薬・先端医療の分野は、高市早苗政権の成長戦略の柱である17分野の一つである。政府には、感染症の医薬品開発に取り組む企業を積極的に支援してもらいたい。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

既存医薬品の安定供給と過度な依存の是正

併せて求められるのは、既存の医薬品を安定的に供給できるようにすることである。感染症の治療に不可欠な医薬品には、中国などに原薬を依存しているものが少なくない。いざというときに輸入が途絶えれば、治療薬を患者に届けられなくなる恐れがある。過度な依存を改めるべきだ。

国民の命と健康を守るには、研究開発の支援だけでなく、臨床試験の充実や、医薬品製造施設の整備などへの支援も必要である。研究開発から製造、備蓄、供給までを一体として捉えなければならない。

耐性菌対策と巨額予算の検証が課題

企業が有事に備えてワクチンや治療薬を開発しても、平時には採算が見込めないという問題もある。政府が買い上げて備蓄することも検討課題だ。

急ぐべきは、抗菌薬が効かない耐性菌が国内で流行した際に切り札となる新たな抗菌薬の開発だ。昨年は百日咳が記録的な流行となった。患者から検出された菌の約8割が抗菌薬の効きにくいタイプで、治療が難しかった。中国で一昨年流行した遺伝子型に近かったことが分かっている。

概算要求では感染症に対応する医薬品の生産体制構築などに約4千億円、革新的医薬品の創出から実用化までの環境整備に約1500億円を計上した。予算要求が認められ成立すれば、創薬に携わる企業や研究機関にとって大きな支援となる。巨額の公費を投じる以上、政府が要所要所で進捗を厳しく検証することも欠かせない。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ