夏場の水分補給は熱中症予防に欠かせないが、誤った方法が肝臓や腎臓に深刻なダメージを与える可能性がある。栗原毅氏(栗原クリニック東京・日本橋院長)は、特にスポーツドリンクの過剰摂取がリスクを高めると警鐘を鳴らす。
急性腎障害のリスクと水分不足の危険性
脱水症状や熱中症によって急激に機能低下しやすい臓器が腎臓だ。「急性腎障害(AKI)」は、血流量の急減により数時間から数日で腎機能が低下する疾患で、重症化すると免疫力低下、多臓器不全、死に至ることもある。この疾患は腎機能が低下した人に発生しやすく、特に夏場にリスクが高まる。
大量の発汗や激しい運動、屋外作業で体内水分が減少すると、全身の血流量や腎臓を流れる血液量が減少し、腎臓が酸素不足に陥って急性腎障害のリスクが大幅に上昇する。
高齢者に多い誤った水分管理
高齢者は喉の渇きや暑さを感じにくく、酷暑でも水を飲まずエアコンも使わない人が少なくない。夜間の寝汗による脱水も増えている。栗原氏は「喉が渇いたと感じた時にはすでに脱水状態」と指摘し、喉の渇きを感じていなくてもこまめな水分摂取と室内温度管理の徹底を呼びかける。
また、トイレが近いことを気にして水分摂取を控える高齢者も多いが、これは「いちばんやってはいけない行動」だ。水分を控えると血液の粘性が高まり、急性腎障害だけでなく脳卒中や心筋梗塞のリスクも高まる。
スポーツドリンクの落とし穴
多くの人が夏場にスポーツドリンクを選ぶが、これが肝臓や腎臓に負担をかける。スポーツドリンクには糖分や電解質が多く含まれており、過剰摂取は血糖値の急上昇や血圧変動を招く。特に糖尿病や高血圧の人は注意が必要で、栗原氏は「血圧の下げすぎ」「血糖の下げすぎ」にも警戒を促す。
適切な水分補給は、水や麦茶などの糖分のない飲料を選び、一度に大量ではなくこまめに摂取することが重要だ。運動時や大量発汗時には経口補水液を適量利用するのが望ましい。



