米FDA、イーライリリーのアルツハイマー病新薬ドナネマブを承認 進行抑制効果
米FDA、イーライリリーのアルツハイマー病新薬承認

FDAがドナネマブを正式承認、アルツハイマー病治療に新たな選択肢

米食品医薬品局(FDA)は7月2日、イーライリリー社が開発したアルツハイマー病治療薬「ドナネマブ」(商品名:キスンラ)を正式に承認した。この薬は、アルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドβの蓄積を除去する抗体医薬で、軽度認知障害および軽度アルツハイマー病の患者が対象となる。

承認は、約1,700人の患者を対象とした大規模な第3相臨床試験(TRAILBLAZER-ALZ 2試験)の結果に基づく。試験では、ドナネマブ投与群でプラセボ群と比較して、認知機能の低下を約35%抑制したと報告されている。また、アミロイドβの除去効果も確認された。

年間治療費は約695万円、保険適用の可否が焦点に

イーライリリーは、ドナネマブの米国での年間治療費を約4万7,000ドル(約695万円)に設定した。これは同種の薬剤であるエーザイ・バイオジェンの「レカネマブ」の年間治療費約2万6,500ドル(約392万円)を上回る。ただし、レカネマブは2週間に1回の点滴投与であるのに対し、ドナネマブは4週間に1回で済むため、患者の負担軽減につながる可能性がある。

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米国では、メディケアを含む公的保険の適用が承認後すぐに検討される見通し。保険適用が認められれば、患者の自己負担額は大幅に減るが、保険財政への影響も懸念される。

脳浮腫などの副作用に注意、投与は慎重に

ドナネマブの副作用として、アミロイド関連画像異常(ARIA)が報告されている。ARIAは脳浮腫や微小出血を引き起こす可能性があり、臨床試験では投与群の約24%に何らかのARIAが認められた。多くは無症状であるが、重篤な例もあり、投与中は定期的なMRI検査によるモニタリングが必要となる。

イーライリリーは、患者の安全性を確保するため、医療従事者向けのトレーニングプログラムを実施するとしている。また、FDAは投与前にAPOE4遺伝子型の検査を推奨しており、特定の遺伝子型を持つ患者ではARIAのリスクが高まる可能性がある。

アルツハイマー病治療のパラダイムシフトへ

ドナネマブの承認により、アルツハイマー病治療は症状改善から疾患修飾へとパラダイムシフトが進むと期待されている。現在、米国では約670万人、世界では約5,500万人がアルツハイマー病に罹患しており、有効な治療法の開発が急務となっている。

ただし、専門家からは「認知機能低下の抑制効果は限定的であり、画期的な治療法とは言い難い」との声も上がる。また、高額な治療費や副作用リスクを考慮すると、すべての患者に適応されるわけではない。今後の実臨床での有効性や安全性のデータ蓄積が求められる。

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