腎臓の機能を維持するためには、日常の食生活で「リン」の摂取量に注意する必要がある。内科医の工藤孝文氏が監修した『「腎臓にいいこと」、ぜんぶ集めました。』(青春出版社)によると、リンは多くの食品に含まれるミネラルで、過剰に摂取すると腎臓に大きな負担をかけ、機能低下を招くという。
腎臓の機能低下を招く栄養素「リン」
リンはカルシウムと結びついて骨や歯の材料となるほか、神経や筋肉の正常な働きを保つ重要な栄養素だ。しかし、工藤氏は「積極的に摂取する必要はない」と指摘する。リンは非常に多くの食品に含まれており、通常の食生活で必要量は容易に満たされるからだ。問題はむしろ、摂り過ぎてしまうことにある。
体内に過剰なリンが入ると、腎臓のろ過機能が働き、不要なリンを排出しようとする。しかし、日常的にリンを摂り過ぎていると、その処理に腎臓が過剰に働くことになり、機能が低下する。機能が低下すると、排出しきれなかったリンが体内に蓄積し、形を変えて毒性を持つようになる。さらに、処理を担う腎臓はますます弱り、高リン血症を招き、過剰なリンが腎臓の働きをさらに奪うという悪循環に陥る。
心臓病や脳卒中のリスクが高まる
高リン血症は腎臓だけでなく、全身の健康にも影響を及ぼす。血液中のリン濃度が高まると、血管の石灰化が進み、心臓病や脳卒中のリスクが高まることが知られている。特に、腎機能が低下している人はリスクが顕著になるため、リンの摂取管理が重要となる。
工藤氏は、スーパーなどで販売されている加工食品にはリンが添加されていることが多く、食品表示だけでは見分けにくいと警告する。例えば、ハムやソーセージ、インスタントラーメン、清涼飲料水などにはリン酸塩として添加されているケースが多い。これらの食品を頻繁に摂取すると、知らず知らずのうちにリン過剰になる可能性がある。
リン摂取を抑えるために控えたい食材
具体的に控えるべき食材として、工藤氏は以下のものを挙げている。
- 加工肉製品:ハム、ベーコン、ソーセージなどはリン酸塩が添加されていることが多い。
- インスタント食品:カップ麺や即席スープには調味料や添加物としてリンが含まれる。
- 清涼飲料水:特に色の濃い炭酸飲料やスポーツドリンクにはリン酸が使われている。
- チーズや乳製品:ナチュラルチーズにもリンは多いが、プロセスチーズはさらに添加されている。
買う前にチェックすべき食品表示欄
食品を購入する際には、原材料表示欄で「リン酸塩」「リン酸Na」「ピロリン酸」などの表記を確認することが推奨される。ただし、表示義務がない場合もあるため、工藤氏は「加工食品はできるだけ避け、生鮮食品を中心にした食事を心がける」ことが大切だと述べている。
また、コンビニ利用の際には、あらかじめ「リン含有量の少ない商品」を選ぶルールを決めておくと良い。例えば、おにぎりやサラダ、ゆで卵などシンプルな食材を選び、総菜や弁当は避けるなどの工夫が有効だ。
腎臓を守る食生活のポイント
腎臓の健康を維持するためには、リンの摂取を抑えるだけでなく、塩分やタンパク質の過剰摂取にも注意が必要だ。工藤氏は「バランスの良い食事を心がけ、特に加工食品に頼りすぎないことが腎臓の老化を防ぐ鍵」と強調している。
本稿は、工藤孝文(監修)、ホームライフ取材班(編)『「腎臓にいいこと」、ぜんぶ集めました。』(青春出版社)の一部を再編集したものである。



