100万匹の虫を育てるアース製研究員、猛暑で変わる虫の生態を語る
100万匹の虫育てる研究員、猛暑で変わる虫の世界

ゴキブリや蚊、ハエ、カメムシ――。できれば出合いたくない虫たちを世話して28年。アース製薬赤穂研究所(兵庫県赤穂市)の有吉立さんは、100種類以上の虫の飼育に携わってきた。長年虫と向き合ってきたから見える仕事の面白さと、猛暑で変わりつつある虫たちの生態について聞いた。

入社時は30種類、現在は110種類の虫を飼育

アース製薬の商品開発に必要なゴキブリや蚊、ハエ、カメムシなどの虫をチームで飼育している。1998年ごろの入社時は30種類ぐらいだったが、今は110種類ほどになっている。ダニを除くと100万匹ぐらいだという。

「この日にゴキブリ100匹」「蚊を何千匹」といった依頼が来るので、それを供給する。商品開発や効力試験、既存商品の改良に使われる。

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「土日休み」に引かれて入社、虫嫌いからの出発

もともと虫が好きだったわけではない。赤穂市で育ち、家具の販売員、ホテルのフロント、陶芸教室の講師などをしていた。土日に勤務があることが多く、転職先を探していた時、新聞の求人広告でアース製薬の「生物管理室員募集」を見つけた。「土日休み」という文字にひかれて応募した。

最初の担当はハエだった。ウジ虫をスプーンで移し替えたり、試験に使わないハエを処分したりする作業があって、気持ち悪かった。2年目にはゴキブリ担当になり、ケースを掃除していると腕をスルッと登ってくることもあった。

続けられた理由について、「上司の言葉が大きかった」と振り返る。「虫のことを全部やってみたら」と言われ、飼育施設の見学者の案内やホームページ用の写真撮影なども担当するようになった。最初は「こちらがゴキブリです」としか説明できず、質問にも答えられなかったため、力不足を感じて勉強を重ねたという。

虫を見る目が変わった、猛暑で大型ゴキブリ北上の兆し

長年続けるうちに、虫を見る目は変わった。例えばカメムシは臭くて嫌われ者だが、卵は意外ときれいで、仕事で虫の写真を撮るようになって「自然がこんな色や模様をつくるんだ」と驚いた。今でも「虫が大好きです」とは言わないが、嫌いでもなくなり、珍しい虫を見ると気になり、アリを見たら「何アリかな」と考えてしまうという。

今年の夏の虫の世界の変化については、暑い時期が長くなっていることを挙げる。大型のゴキブリが北上している可能性があるという。

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