熊本地震の発生以降、九州7県での宿泊キャンセルは計約40万件(推計値含む)に上ることが、各県への取材でわかった。未算出の鹿児島県を除くキャンセル金額は総計約40億円(同)。被災した熊本以外でも、鹿児島や宮崎でキャンセルが続出し、長崎の修学旅行にも影響を及ぼす。関係者からは不安を訴える声が後を絶たず、政府は月内にとりまとめる支援パッケージに、観光需要の喚起策を盛り込む方針だ。
九州各県のキャンセル件数と金額
読売新聞が24日までに各県に取材した。事業者団体の集計や県による調査をまとめ、推計値(佐賀と宮崎)を含む。集計期間は県ごとに異なるが、1人による1泊分のキャンセルを「1件」とした。キャンセル理由の内訳はなく、自己都合なども含まれる。
件数は熊本約19万600件(21日現在)が最多で、鹿児島約11万1700件(7日現在)、宮崎約3万4000件(10日現在)と続く。ほか、福岡約2万8000件(17日現在)、長崎約1万5000件(17日現在)、佐賀約1万2000件(18日現在)、大分約7800件(12日現在)。金額順でも熊本が約26億9300万円で最多だ。鹿児島は算出しておらず、宮崎は5億円以上、福岡は約2億7000万円だった。
観光地への影響と交通網の課題
地域別にみると、熊本県内では阿蘇が約6万件と最も多く、次いで天草が3万4000件となっており、地震で大きな被害が確認されなかった観光地が目立つ。
上天草市の温泉旅館「ホテル竜宮」の柴田大助支配人によると、全41室の客室は例年8月末まで満室に近い状態が続くが、今年は半分程度が空室という。柴田支配人は「夏休みのかき入れ時から、苦しい状況が続いている。政府の観光策で客が戻ることを期待している」と力を込めた。
南九州では、九州新幹線の熊本―新水俣駅間が現在も復旧のメドが立たないなど交通網への影響が大きい。鹿児島県の塩田康一知事は19日に観光庁などを訪問し、観光・地域経済への支援といった緊急要望を実施。21日の定例会見で「土産物の販売業、飲食業、交通事業者など幅広い業種にも影響を及ぼしている」との懸念を示した。
団体予約や修学旅行のキャンセル相次ぐ
秋の旅行シーズンの団体予約や、修学旅行のキャンセルも相次ぐ。大分県別府市の「ホテル白菊」では、地震発生から約1200万円のキャンセルが発生した。「地震で不安がある」と、秋の団体予約も複数取りやめになったという。
長崎県旅館ホテル生活衛生同業組合の塚島宏明専務理事も「関西や関東からの修学旅行の延期が出て、打撃は大きい」と明かす。副社長を務める長崎市のホテルでも100人以上のキャンセルが出たといい、「10年前の熊本地震でも、政府の支援策直後に宿泊客が一気に戻った。冷え切った需要の復活への期待は大きく、九州全体への支援をお願いしたい」と話した。



