乳がんの主な症状として知られる乳房のしこりは、乳がんによる変化の一部にすぎません。国立がん研究センターは、乳房のくぼみ、乳頭や乳輪のただれ、左右の乳房の形の非対称、乳頭からの分泌物なども乳がんで見られる症状として挙げています。
こうした変化は乳がん以外の原因でも起こりますが、普段と違う状態に気づいたら自己判断せず、乳腺科や乳腺外科などの医療機関へ相談することが大切です。
しこり以外の乳がんサイン
乳がんでは、乳房の皮膚がくぼんだり、不自然に引っ張られたように見えたりすることがあります。乳房の内部にできたがんが周囲の組織を引き込むことなどによって、皮膚がえくぼのようにへこんで見えることもあります。また、乳房の形や皮膚の状態が左右で違って見えることもあります。
乳頭や乳輪に、ただれや湿疹のような変化が現れることもあります。こうした症状は皮膚炎など乳がん以外の原因でも起こりますが、乳がんの一種である「乳房Paget病」などでも、乳頭や乳輪に赤み、ただれ、かさぶたなどの皮膚症状が現れることがあります。
分泌物や痛みへの注意
授乳中ではないのに乳頭から分泌物が出ることがあります。乳頭分泌は乳がん以外の良性疾患などでも起こるため、分泌物があるからといって乳がんとは限りません。一方で、血液が混じったような分泌物が出る場合や、片側の乳頭から自然に分泌物が出る場合などには、乳房の病気が隠れていることがあります。
乳房の痛みは、月経周期に伴うホルモンの変化をはじめ、さまざまな原因で起こる比較的よくある症状です。乳房の痛みだけで乳がんを強く疑うわけではありませんが、痛みが続く場合や、しこり、皮膚のくぼみ・ひきつれ、乳頭の変化、分泌物などほかの変化も伴っている場合は、医療機関へ相談してください。
ブレスト・アウェアネスで変化に気づく
乳房の変化に気づくために知っておきたいのが、「ブレスト・アウェアネス」という考え方です。これは「乳房を意識する生活習慣」のことで、厚生労働省などは次の4つをポイントとして挙げています。
- 自分の乳房の状態を知る
- 乳房の変化に気をつける
- 変化に気づいたらすぐ医師へ相談する
- 40歳になったら2年に1回乳がん検診を受ける
大切なのは「定期的にしこりを探さなければならない」と考えることではなく、入浴やシャワー、着替えなど日常生活の中で自分の乳房を見たり触れたりして普段の状態を知っておくことで、「いつもと違う変化」に気づきやすくすることです。
乳房に気になる変化があった場合は、次の乳がん検診まで待つ必要はありません。がん検診は症状がない人を対象に行われるものです。しこりや乳房・乳頭の変化などの症状がある場合は、検診ではなく医療機関を受診しましょう。また、症状がない場合でも、40歳以上の女性は2年に1回、乳がん検診を受けることが推奨されています。