「かわいいね」が“正解の押し付け”に?部下や子供への容姿褒めが引き起こす問題
「かわいいね」が“正解の押し付け”に?容姿褒めの問題

「かわいいね」「かっこいいね」——何気なく発するこれらの言葉が、相手にとっては“正解の押し付け”になる瞬間がある。ルッキズム(外見至上主義)の問題を考えるうえで、私たちの日常に潜む無意識の容姿評価について、前川裕奈氏(kelluna.代表)とウィルソン麻菜氏(ライター)が警鐘を鳴らす。

推し活に学ぶ「それぞれの最高」

「あなたの推しがあなたにとって最高なように、ほかの人にも『最高』がいる。その『最高』は、人それぞれちがっていい」と前川氏は指摘する。推し活の現場で当然とされるこの考え方は、実は日常の人間関係にも当てはまるべきだという。「自分の好き」と「相手の好き」を両方大切にすることで、異なる好みを認め合える空間が生まれる。その心地よい世界が、推しの現場だけでなく、私たちの日常生活にも広がることを願っていると述べている。

表舞台の人には何を言ってもいいのか

SNSのコメント欄や握手会などで、ファンが推しに直接言葉を伝えられる現代だからこそ、表舞台に立つ人への発言の線引きが問われる。『つまり、それがルッキズム ~23の事例と解説~』(講談社)でも取り上げられているこの問題について、まず「『髪切って変になった』『きもい』といった発言は、誰だって良い気持ちにならない」と前川氏は強調する。表舞台に立っているからといって傷つかないわけではなく、彼らも私たちと同じ人間である。推しているかどうかに関係なく、言葉は相手に届き、他の人の目にも触れることを忘れてはならない。

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容姿を売りにする側の事情

一方で、容姿も含めて「売り物」にしている立場からは、「かわいい」「かっこいい」と言われることを喜ぶ人もいる。直接感想を伝えることで、ファンが何を好むかを知る手がかりにもなる。前川氏自身も推しの自撮りを見て「興奮で高鳴る鼓動をいったん落ち着かせたあとに褒め称えている」と告白し、「自分の心の中でだけ思っとけ!」とまでは言わない。業界としても、基本的にはファンから「ビジュいい!」と言われるのは嬉しいという前提で動いており、推し本人に詳細を確かめる術もない。

ダイエットや体型への言及には注意

しかし、注意が必要なのは、本人が「ダイエット中でね」「舞台に向けて身体作り中なんだ」といった文脈を発信していないのに、「痩せた」「太った」「顔小さくなった⁉」などの言葉を浴びせることだ。顔出ししている人だからといって、無関係にそうした言葉を投げかけていいわけではない。前川氏は「いったん立ち止まって考えたい」と訴える。

推しのジャンルによって異なる言葉の受け止め方

「推し」や「芸能人」といっても、活動するジャンルによって、嬉しい言葉も傷つく言葉も異なる。ファンなら、推しにとって何が嬉しい言葉か、一番よくわかるはずだ。そして、傷つく言葉は、想像力を少し働かせれば止められる。前川氏は「私たちの人生を潤わせてくれる推しを含む芸能界を、一緒に健やかに盛り上げていきたい」と締めくくっている。

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