大阪市議会で、都構想の前提となる大阪市「廃止」という表現を避けるよう求める陳情書が採択され、論争が起きている。提出者に日本維新の会の国会議員秘書や府議の秘書がいたことも判明し、陳情のあり方が問われる事態となっている。
陳情書の採択と主張
9月25日の市議会財政総務委員会で、「大阪市を廃止するという極めて一面的で誤解を生みかねない表現を避け、本来の趣旨が正しく伝わる表現を使用されるよう求めます」とする陳情書が採択された。陳情書は「過去の住民投票で廃止という言葉が強調された」と主張し、都構想が実現した場合に住民サービスが後退するとの先入観を市民に生じさせ、否決につながったとの見方を示している。
維新の対応と反対派の批判
1月に吉村洋文大阪府知事が3度目の都構想挑戦を表明して以降、維新は「廃止」という表現を避けてきた。5~6月の市議会定例会では、都構想に反対する議員が「大阪市は廃止されるのか」と横山英幸市長に繰り返し迫った。横山氏は「『廃止』という言葉が正しい理解を促進するのか疑問だ。より分かりやすく説明するために廃止という文言は使うべきではない」と答弁した。
大都市地域特別区設置法には道府県の区域内で「関係市町村を廃止」すると記載されており、都構想反対派は「大阪市廃止」の弊害を訴える。平成30年の市議会定例会では、大阪市を廃止すると投票用紙に明記するよう求める陳情書が提出され、当時維新は市議会で過半数の議席を持たず、陳情書は採択された。2回目の住民投票では「大阪市を廃止し特別区を設置する」ことの是非が問われた。
陳情書の提出者と今後の行方
現在開会中の市議会9月定例会には、大阪市「廃止」の表現を避けるよう求める陳情書が2件出された。1件は委員会付託後に取り下げられ、もう1件は採択された。ただ、2件の陳情書の提出者らに維新の国会議員秘書や維新府議の秘書がいたことが判明。府議の秘書で陳情書を提出した女性は「秘書としてではなく、個人として提出した。浅はかだった」と話した。
過去の都構想の議論では、今回と同じ維新府議のもとにいた別の秘書(当時)が、同趣旨の陳情書の提出者として名前を連ねていた。反対派の市議は「制度案を議論する議員に近い立場の者が、市民の声と称して陳情する手法に正当性があるのか」と批判しており、陳情のあり方が問われる事態となっている。