高市早苗首相(自民党総裁)は16日午前、新しい党執行部を発足させた。骨格を維持した人事としたが、幹部たちの首相との距離感はさまざまだ。新執行部5人の人柄とともに紹介する。
副総裁留任の麻生氏、会見に出ず
副総裁に留任した麻生太郎氏(85)は、今回も新執行部発足に伴う記者会見に姿を見せなかった。
自民党派閥が裏金問題を受けて相次ぎ解散する中、麻生氏は自らが率いる派閥を守り続ける。昨年の党総裁選では決選投票で高市氏を支持し、総裁就任の立役者に。副総裁として、党内基盤の弱い首相の「後見役」を務めている。
2008年に首相に就くも、1年間で民主党に政権を明け渡した。一方、政権奪還後は盟友の安倍晋三首相の返り咲きを支え、財務相としての任期は8年9カ月と戦後最長となった。祖父は吉田茂元首相。クレー射撃で五輪出場経験もある。
党内融和に腐心の鈴木幹事長
幹事長に留任した鈴木俊一氏(73)は会見で「高市政権においては政策転換、いろいろな政策の進め方を変えている」とした上で、「これらを遂行するにあたって一番大切なのは政治の安定」と強調。参院で少数与党であることも踏まえ、「党内融和を図って、党内が一致団結することができて、初めて安定した政治基盤ができる」として、党の結束を重視する考えを示した。
父に鈴木善幸、義兄に麻生太郎という2人の首相経験者を持つ。穏やかな性格で知られ、「和の政治」を掲げた父のように党内融和に腐心する。ただ1月の衆院解散では高市首相から事前の相談がなく、「連携不足」も指摘される。
郷土・岩手が壊滅的な津波被害を受けた2011年の東日本大震災の時は落選しており、無力さを痛感。幹事長に就任した後もこまめに地元に入り、支援固めに余念がない。趣味は料理で、コロッケ作りやそば打ちにも挑む。
徒党を好まぬ梶山・新総務会長
新たな総務会長に就いた梶山弘志氏(70)は会見で「活発でありながらも、円滑な党運営を通じて高市総裁を結束して支えていく体制を作ってまいりたい」と述べた。
官房長官などを歴任した父・静六氏の茨城の地盤を受け継ぎ当選10回。経産相などを務めた。経営者の経験から中小企業支援やエネルギー政策を語る時は今も熱が入る。
徒党を組むことは好まず、高市首相との距離も近いとは言えない。昨秋から国会対策委員長を務め、先の特別国会では野党と協議を重ね、「自らの責任」で首相出席の予算委員会の開催を確約。一本気な性格を見せたが、首相との距離感もにじんだ。酒好きで「酒豪」を自認することも。
「まず消費減税法案」小林政調会長
政調会長に留任した小林鷹之氏(51)は会見で「まずは物価高対策としての消費税減税法案を次の国会で必ず成立させる」と強調。「国対、幹事長室、官邸ともしっかりと意思疎通を図りながら、これまで1年間、政策づくりに努めてきた。引き続き、とにかく動いて、党内のひとつの結節点になれるような努力をしていきたい」と抱負を語った。
昨秋、高市氏から政調会長に登用された。日本維新の会との連立政権合意書に掲げた副首都構想や消費減税など、自民党内で賛否が割れる政策を手がけた実績が評価され、希望通りの続投となった。
過去2回の総裁選に立候補し、ポスト高市の一人と目される。仲間内では首相からの「禅譲」を狙うべきだとの声も。来秋の総裁選で首相と三たび戦うかが焦点だ。発言に力が入ると怖い顔に見えるのが悩み。手元の紙に笑顔マークを書いておくこともある。
「統一地方選をしっかり」西村選対委員長
自民党の選挙対策委員長に留任した西村康稔氏(63)は、高市首相から「来春の統一地方選をしっかりやってください」と指示されたという。会見で「勝てる候補をしっかりと立てて応援していきたい」と述べた。「連立のパートナーである日本維新の会とは、しっかりと調整したい」としつつ、「他の野党とも連携できるところは連携しながら取り組んでいきたい」とも語った。
旧安倍派で「5人衆」と呼ばれた主要メンバーの1人。2019年に経産再生担当相として初入閣し、コロナ禍では対策担当相として陣頭指揮をとった。
派閥の裏金問題で1年間の党員資格停止の処分を受け、24年衆院選は無所属で戦った。今年2月の衆院選後に選挙対策委員長に就任。沖縄県知事選に向けて何度も現地入りして推薦候補を勝利に導いた功績が買われた。
東大時代はボクシング部に所属し、出張先でも早朝からジムでランニングをして汗を流す。



