国家公務員の若手・中堅の離職が続く中、人事院は今年度の給与引き上げを内閣と国会に勧告した。月給は平均で1万5000円増、初任給は9500円上乗せする内容だ。待遇改善に加え、使命感と誇りを保てる環境作りも求められる。
勧告の内容と特徴
今回の勧告では、30~40歳代の職員向けの新規施策が打ち出された。転居を伴う異動手当の対象者を、家族を帯同する職員にも新たに広げるほか、年間最大7日の無給休暇も創設する。
近年は給与や福利厚生への不満を理由に民間企業へ転職する職員が目立つ。「キャリア官僚」と呼ばれる総合職では、2014年度採用の職員の4人に1人が退職した。この世代は課長補佐クラスとして実務の中心を担う一方、育児や介護との両立も求められている。民間との人材獲得競争が激化する中、つなぎとめを図るのは妥当だ。
給与体系の見直し
人事院は勧告に合わせた報告で、本省の課長級以上の職員について「職務・職責をより重視した給与体系」を実現する方針を示し、数年以内の導入を目指す。具体的には職責の重さや職務の難易度を給与に反映させ、民間企業の役員らの報酬も踏まえた給与水準にする。ボーナスの支給は優秀な成績を上げた場合などに限ることを検討するという。
従来の年功序列から能力・成果に重きを置く人事制度に踏み出すもので、中堅・若手職員の意欲も高まることが期待される。
再雇用と政官関係の課題
一方、一度退職して民間企業に勤めた職員を再雇用するケースが増えており、本省の課長に戻った例もある。こうした取り組みを広げるのも有用だろう。
官僚は専門的な知見に基づき政策を立案する重要な責務を担っている。人材の流出が続けば行政サービスの質は落ち、国力の低下を招きかねない。政府は多角的に人材確保策に取り組むべきだ。
一部の政治家が官僚に過度な負担をかける現状も離職の原因とされて久しい。中堅・若手官僚は、国会議員から質問内容を事前に聞き取る「質問取り」と答弁作成のため、未明までの勤務を強いられることが多い。議員への説明の際、高圧的な言動に嫌気が差すという官僚も少なからずいる。いびつな「政と官」のあり方の見直しも急務だ。



