総務省は5月22日、ふるさと納税の仲介サイト事業者などで構成される業界団体に対し、事務手数料の引き下げを要求した。各仲介サイト事業者に対しては、8月末までに対応方針を書面で回答するよう求めた。多くの地方自治体は大手事業者が手数料の引き下げ交渉に応じない窮状を訴えており、事業費の圧縮を目指す。
総務省の要求内容
総務省は、業界団体の「ふるさと納税協会」とソフトバンク系の「さとふる」(東京都中央区)、「楽天グループ」、「ふるなび」を運営する「アイモバイル」、「ふるさとチョイス」の「トラストバンク」(東京都新宿区)の大手4社の代表者に対して、要求文書を手交した。武田良太自治行政局長は「規模拡大によるコスト低減効果があるはずだ」と大手4社に苦言を呈した。
業界団体の反応
楽天グループは「自治体の業務負担軽減や返礼品の最大化に資するサービス提供に注力している」とコメント。手数料はシステム運用に加え、情報発信や自治体支援などに活用しているとした。
総務省の調査では、返礼品総額の約1割に当たる1300億円超が事業者に流出している実態が明らかになった。ふるさと納税は大手4社が寄付額の9割を集めており、大手事業者が圧倒的優位に立つ寡占状態に陥っている。
手数料引き下げの目標
総務省は寄付額の5割までと規制されている募集費用の上限を段階的に引き下げ、2029年までに4割に圧縮。6割以上が自治体の手元に残るようにする。
ふるさと納税を巡っては、仲介サイトの手数料が寄付額をもとに設定されていることが高額につながっているとの指摘もある。同じ価格の品でも寄付額は3倍以上に設定されるため、ネット通販の3倍以上になっていると訴える自治体もある。
相互の再入を断ち合う構造的課題
手数料高止まりの背景には、自治体同士がお互いの再入を断ち合うふるさと納税の構造的な課題がある。競争に勝つため、自治体は仲介サイト事業者に返礼品の開発支援などのコンサルティング業務も合わせて委託。関係が深まる中で事業者の優位性が高まっていった。
制度の導入当初は民間の開発力や経営感覚の活用などで一定の効果は見られたが、返礼品は肉やコメ、海産物など人気の高いものに大きく偏っているのが現状。100万円を超える高額返礼品も増えて、富裕層優遇が強まるなど、自治体も本来の地域のアピールとかけ離れた安易な寄付金集めに注力している。
過度な競争圧力による問題
過度な競争圧力に自治体の担当職員からは悲鳴が上がる。2025年、募集費用の上限違反で制度の対象から除外された長崎県雲仙市では、違反につながった原因を調べる第三者委員会が3月、「寄付額増大へのプレッシャーがあった」と結論付けた。担当部長が大声で叱責するなど、日常的に威圧的な言動を繰り返していたと認定している。 (高木香奈子)



