13日に投開票された沖縄県知事選で初当選し、30日に知事に就任する古謝玄太氏(42)の後援会長を務める前田貴子氏(61)が27日までに、同県名護市内で産経新聞の取材に応じた。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設反対で結束する「オール沖縄」勢力が支える現職の玉城デニー氏(66)に約14万7000票の大差をつけた選挙結果について、「争点にはなっていないが、3月の抗議船転覆事故の影響も大きかったと思う」との見方を示した。
玉城県政に「許せない」との気持ち
古謝氏が1月、保守系の候補者選考委員会で擁立された当初は現職の玉城氏が圧倒的に優位とみられていた。だが、3月16日に辺野古沖で船2隻が転覆し、同志社国際高(京都府)2年、武石知華さん(17)ら2人が死亡する事故が発生。前田氏は「地元のメディアではあまり(事故に関する)報道がなかったが、SNSなどでは大きな関心を集め、明らかに風向きが変わったと感じた」と振り返った。
事故を巡っては、転覆した抗議船を運航する「ヘリ基地反対協議会」が玉城氏を支持していた団体だったほか、玉城氏も団体を擁護するかのような言動を繰り返し、批判を集めた。
「許せない」気持ちが選挙に
前田氏は名護市出身。「(警備員が死亡した)安和桟橋の事故でも玉城知事の対応は本当にひどいものだった」と指摘する。同市安和の国道で令和6年、車道に飛び出した抗議者を制止しようとした警備員がダンプカーにはねられ死亡した事故で玉城氏が、事業者側が求めるガードレールの設置を拒み、事故の状況が分かる防犯カメラ映像をかたくなに見ようとしなかったためだ。
前田氏は「玉城県政の対応は『許せない』という気持ちがずっとくすぶっていた。この選挙で古謝氏に絶対に勝ってもらい、県政を刷新しなければならないと思った」と述懐する。
「事故のご遺族に寄り添って」
名護市ではヘリ基地反対協議会が平成9年から、米軍キャンプ・シュワブ沖(辺野古沖)で計画されたヘリパッド建設に反対する闘争を繰り広げてきた。前田氏は「この30年間、住民は分断されてきた。通っただけで(抗議者らに)写真を撮られることもあり、なるべく関わらないようにしていた。だが、沖縄を前に進め、経済を加速させなければいけないという県民の思いが、選挙結果につながった」とみる。
これから県政のかじ取りを担う古謝氏に対しては「事故のご遺族の心に寄り添い、事故の全容解明と責任所在の明確化、再発防止の実現に向け、知事としてできることは全てやってほしい」と託し、こう続けた。「私たちは『真の『命(ぬち)どぅ宝』(命こそ宝)、本当の意味での平和希求について、今一度しっかりと考える必要があるのではないか」