米韓合同演習縮小、北朝鮮抑止力低下を懸念 社説
米韓演習縮小、北朝鮮抑止力低下を懸念

北朝鮮が実戦能力を急速に高め、中国も軍事的威圧を続ける中、米韓両軍が合同軍事演習を大幅に縮小した。中朝などへの抑止力低下につながりかねず、日本を含む北東アジア全体の安定に悪影響が及ぶことを懸念する。

演習期間が半減、トランプ氏の指示で

米韓は当初、今年夏の定例合同軍事演習を17日から27日まで行う予定だったが、21日までの5日間に短縮した。開始直前にトランプ米大統領が規模縮小をヘグセス国防長官に指示したためだ。

トランプ氏は、演習は北朝鮮に「敵対的なシグナルを送る」と主張した。さらに、金正恩朝鮮労働党総書記と年内にも「会うことになる」との見通しを示した。正恩氏との直接会談を実現するために、北朝鮮に譲歩したのだとすれば、ゆゆしき事態だ。

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北朝鮮の実戦能力向上と要塞化の進行

北朝鮮は2024年以降、ウクライナを侵略するロシアに兵士を派遣し、ミサイルや無人機による攻撃に参加して実戦経験を積んでいる。見返りとして、ロシアから資金や技術の提供を受けている可能性が高い。また、北朝鮮は韓国を「最も敵対的な国家」と位置づけ、南北軍事境界線付近の地雷埋設などによる要塞化を進めている。

今回の米韓演習では、北朝鮮の無人機攻撃などを想定した訓練が予定されていた。実戦能力を高める北朝鮮への対応を確認する重要な機会が、トランプ氏の指示で半減したのは残念だ。

トランプ氏の対話路線と核保有の懸念

トランプ氏は、北朝鮮が対話の呼びかけに前向きな反応を示していると主張している。18年と19年に計3回行われた正恩氏との直接対話を再現し、外交面での成果としたいのだろう。だが、3回の直接会談で、朝鮮半島の非核化に向けた実効性のある合意は結ばれなかった。北朝鮮の軍事力強化が進んだ今では、さらに困難だろう。

トランプ氏は、北朝鮮が「57発の核兵器を保有している」とも述べた。北朝鮮の核保有を前提に米朝協議を進めようとしているのではないかとの懸念は消えない。米国は、イランの核開発を阻止するとして軍事攻撃を始めたが、いまだ戦闘を終結できずにいる。トランプ氏が今度は、核開発を進めている北朝鮮との融和を優先するようでは、きわめて危うい。

日本は、米国や韓国に対し、北朝鮮に妥協して地域を不安定化させることがないよう、説得を続けるべきだ。日本自身の防衛力を着実に高め、日米韓の連携をさらに強化していく必要がある。

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