元公安捜査官が明かす大使館レセプションの裏側「スパイの社交場」の実態
元公安捜査官が明かす大使館レセプションの裏側

元公安捜査官の勝丸円覚氏は、年間100回以上の大使館レセプションに出席し、その内幕を語る。各国の大使や外交官が集う場には、米国をはじめとする諸国のインテリジェンス機関の関係者が頻繁に姿を見せ、「スパイの社交場」と化すこともあったという。

年100回以上のレセプションに出席する元公安捜査官

ほとんどの国の大使館は年に一度、友好親善や情報発信を目的にナショナル・デーのレセプションを開催する。ナショナル・デーとは独立、建国、革命など国家の記念日で、日本に大使館を置くすべての国が外務省に届け出ている。当日またはその前後にレセプションを開くのが一般的だ。

さらに、ギリシャ大使の離任レセプションやブータン首相の歓迎レセプションなど、ナショナル・デー以外のイベントも頻繁に行われる。バングラデシュは3月の独立記念日のほか、12月に戦勝記念日を祝う。ポーランドは5月の憲法記念日に加え、11月の独立記念日には武官主催のパーティーを開く。

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勝丸氏は「小規模なパーティーも含めて行けるものにはすべて顔を出すようにしていた」と振り返る。昼と夜のダブルヘッダー、トリプルヘッダーも珍しくなく、年間100回以上のレセプションやパーティーに出席していたという。

「スパイの社交場」のような光景

大きなレセプションの会場には、必ずと言っていいほど米国をはじめ、さまざまな国のインテリジェンス機関の関係者が姿を見せる。勝丸氏は「見ようによっては、『スパイの社交場』のような光景が繰り広げられることもよくあった」と語る。

各国の情報機関は、こうした場で人的ネットワークを構築し、情報収集を行っている。外交官やビジネスマンに紛れて、スパイ活動の一端が展開されるのだ。

招待状なしでパーティーに紛れ込む人々

レセプションには、招待状を持たずに潜入する者もいる。勝丸氏は「招待状なしでパーティーにまぎれ込む人たちがいる」と指摘する。彼らは外交官や関係者を装い、警備の隙を突いて会場に入り込む。目的は情報収集や人脈作り、あるいは単なる興味本位の場合もある。

また、大使と一緒に撮った写真をビジネスに活用する人物も存在する。勝丸氏は「大使と撮った写真をビジネス活用する輩もいる」と述べ、信用を得るために利用するケースがあるという。

外交官たちの本音「日本に来られてラッキー」

外交官たちの間では、日本への赴任を好意的に捉える声が多い。勝丸氏によれば、多くの外交官が「日本に来られてラッキー」と口にするという。治安の良さ、文化の豊かさ、生活のしやすさが評価されている。

さらに、各国の大使が日本人女性と結婚するケースも少なくない。勝丸氏は「日本人女性と結婚する各国の大使たち」の存在を明かし、国際結婚が外交関係に与える影響についても示唆している。

選挙のたびに多数の死者が出る南アジアの国

勝丸氏は、南アジアのある国について「選挙のたびに多数の死者が出る」と指摘する。政治的な混乱や暴力が頻発し、選挙のたびに多くの命が失われる実態を目の当たりにしてきたという。

あるレセプションでは、喧嘩が発生し警察が呼ばれる事態もあった。間に入った警察官が胸倉をつかまれるなど、外交の場でありながら乱暴な光景が繰り広げられることもある。

勝丸円覚氏の著書『警視庁公安部外事課』(光文社新書)は、こうした外交の裏側を詳細に描いている。本稿はその一部を再編集したものである。

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