政府は物価高対策として、食料品の消費税率を引き下げる法案を国会に提出した。歴史的な減税は高市政権の衆院選の公約であり、世論の期待がある一方で、効果への疑問や財政への悪影響も指摘されている。問題をはらんだ公約の実現をめざす動きをどう考えればいいのか。そもそも、民主主義の下で財政が近視眼的になることは避けがたいのだろうか。経済政策に詳しい法政大学教授の小黒一正氏に聞いた。
民主主義に内在する短期志向の構造
近年、先進国などでポピュリズム的な政治家や政党が勢力を伸ばし、中には大規模な減税などばらまき的な経済政策を訴える例も見られる。民主主義には、財政の健全性が軽んじられやすい側面があるのだろうか。
小黒氏は「民主主義が財政赤字を必然的に生み出すわけではありませんが、財政運営を短期志向にしやすい構造が内在しています」と指摘する。政治家は数年ごとに選挙を迎える。減税や現金給付、社会保障の充実などの政策は、現在の利益が目に見えやすく、政治的に支持を得やすい。一方で、財源を国債発行による借金でまかなう場合、負担は数十年先まで分散し、有権者には認識しにくい。しかも、将来世代にはまだ投票権がない。
「こうした時間軸や政治参加の大きなずれが、目先の利益ばかりを見て、負担を将来に先送りする誘因を生みやすいのです」と小黒氏は語る。
時間軸のずれが生む誘因
特定の地域や業界向けの政策も、利益が特定の集団に集中する一方で、負担は国民全体に分散する。このような構造が、財政の短期志向をさらに強める可能性がある。
小黒氏へのインタビューは、こうした民主主義の構造的な弱点をどう克服するかに論点が及ぶ。財政の健全性を保ちながら、目先の利益に流されない政策決定のあり方が問われている。
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