高市首相が公設秘書の関与が疑われる疑惑で追い詰められ、国会審議は混乱の極みにある。中傷動画の作成や暗号資産「サナエトークン」の開発に関与したとされる会社社長・松井健氏が、週刊文春や共同通信の取材に対し、高市首相の公設秘書で奈良県事務所に勤務する木下氏からの依頼を受けたと証言したことで、潮目が一変した。
予算委員会でのかみ合わない質疑
6月22日午前の衆院予算委員会では、中道改革連合の後藤祐一議員が「木下秘書や高市事務所のスタッフが、松井氏らとのLINEグループのメンバーになったのは間違いないか」と切り出した。しかし、高市首相は不快さを露わにしながらも質問には直接答えず、「何カ月も外交、安全保障、経済対策、成長戦略について私も歯を食いしばって働き続けてまいりました」とはぐらかし、自らの言い分を延々と述べ続けた。
「私は30年以上衆院議員を務め、総裁選挙にも3回立候補したが、ほかの候補を中傷したり批判したりするようなことはせず、ひたすら自分の政策を訴え続けてきた。これは私自身の政治家としての矜持であり、誇りでもある」と高市首相は主張。さらに「私の事務所や陣営もそのことは十分理解し、私の心情に従って活動してくれており、ましてや、そうした他人を誹謗したり中傷したりする行為を第三者に依頼して行うことはありえない」と否定した。サナエトークンについては「3月2日まで、その言葉を聞いたこともありません」と述べた。
突然の陳述書提出案
質疑がかみ合わない中、後藤議員が何度も「質問に答えてください」と求めたが、高市首相は「これらの件については、これまで質問通告をいただく都度、質疑者から指定された週刊誌の該当部分のみを深夜に私は読んで、委員会当日の深夜から早朝にかけて、就寝中の奈良の秘書に何度も電話をかけて、秘書が答えた内容を答弁してきた。でも誠実に対応することで、私の総理としての業務時間も、残念ながら確保できなくなってきている」と訴えた。
そして答弁の最後に突然、「近日中に、奈良の(木下)秘書の陳述書と、暗号資産に関する記述などどこにもない相手企業から送られてきた唯一の提案書、これを予算委員会の理事会に提出させてください。それをもって本件に関する詳細な問いへの答弁とさせていただきたいと考えます」と述べ、委員会室に衝撃が走った。
与党内からも冷笑の声
この異例の提案に対し、与党内からも「前代未聞の陳述書提出で終盤国会は大混乱」「自業自得の大ピンチ」と冷笑する声が上がっている。高市首相はW杯にすがるかのような姿勢も見せているが、疑惑の核心から逃れようとする姿勢がかえって火に油を注いでいる。今後の国会審議の行方が注目される。



