クアルコム(Qualcomm)は現地時間6月24日、ニューヨークで開催した投資家向けイベント「Investor Day」において、AIデータセンター向けの包括的な製品ロードマップを発表した。新たに公開されたのは、サーバ向けCPU「Qualcomm Dragonfly C1000」、メモリと演算を統合する「Qualcomm High Bandwidth Compute(HBC)」技術、推論アクセラレータ「Qualcomm Dragonfly AI300」、カスタムシリコンなどである。これはエージェント型AIの普及で急増する推論需要に対応する狙いがある。
Dragonfly C1000の詳細:最大250コア、5GHz超の動作周波数
中核となるDragonfly C1000は、同社が独自設計するサーバ向け「Qualcomm Oryon」CPUコアを採用し、5GHzを超える動作周波数と250個以上のコアを備えるチップレット設計を採用した。エージェント型AIや汎用ワークロード、AIヘッドノード向けに最適化されており、競合の最新サーバ向けCPUと比較して2倍以上のワット当たり性能を実現すると見込んでいる。PCIe Gen 7やCXLに対応し、空冷と液冷の両方をサポートする。商用提供は2028年を予定している。
AI推論アクセラレータ「Dragonfly AI300」:第3世代でHBC統合
これまでクアルコムのデータセンター向け製品は、AI推論アクセラレータが中心だった。「Cloud AI 100」シリーズに続き、2025年10月にはラックスケールの推論基板「AI200」「AI250」を発表しており、今回はこれらにHBC(第2世代)を組み合わせた第3世代の「AI300」を追加した。AI300は、GPUベースのアーキテクチャと比較してカード当たりのメモリ容量/ワットで4~8倍の性能を見込むという。今回、このアクセラレータ中心の製品群に汎用サーバCPUのC1000を新たに加え、CPU、アクセラレータ、高速接続、ソフトウェアを備えたラックスケール基板として展開する。
Metaとの戦略的提携:次世代サーバにC1000を採用
クアルコムはまた、データセンター向けCPUを巡りMetaとの複数世代にわたる戦略的提携も発表した。クアルコムがMetaにデータセンター向けCPUを供給する内容で、C1000がMetaの次世代サーバ群に採用される予定。生産は2028年後半に始まり、以降のデータセンター増強でも継続するとしている。Metaのマーク・ザッカーバーグCEOは、「Metaのために次世代CPUを設計するクアルコムとの協業を続けられることを期待する」と述べ、他のコンピューティング投資とあわせて「パーソナルスーパーインテリジェンス」を世界中に届けるためのインフラ構築を急いでいるとコメントした。クアルコムのクリスティアーノ・アモンCEOは、スマートフォンなどのデバイスからデータセンターへと両社の協業を広げるものだと位置付けている。
関連動向:Intel、Arm、Metaの取り組み
Intelは「Computex Taipei 2026」で、データセンター向け新CPU「Xeon 6+」を発表。最先端のIntel 18Aプロセスを採用し、前世代比で最大2.5倍の性能向上を実現。新イーサネットコントローラや次世代データセンターGPU「Crescent Island」の追加情報も公開した。Armは自社初の独自開発CPU「AGI CPU」を発表。エージェンティックAIの需要拡大に対応し、高い電力効率と並列処理能力を備える。開発ではMetaが中核的な役割を担っており、将来的に設計をOCPで公開する予定。OpenAIやソシオネクストなど50社以上が支持を表明しており、次世代AIインフラの中核を担うことが期待される。Metaは、AI関連タスクに特化した自社製カスタムチップ「MTIA」シリーズの最新4モデルを公開。推論処理の最適化とコスト削減を狙い、開発サイクルを大幅に短縮。並行して、NVIDIA製GPUを大量投入した巨大クラスタの構築や、将来的な5GW規模の超巨大データセンター「Hyperion」の稼働計画も進めている。



