日中友好団体トップとして訪中した岩屋毅前外相と中国の王毅外相らとの会談が対中関係打開につながるか、政府は慎重に見極める方針だ。中国側は、台湾有事を巡る高市首相の国会答弁を非難し、政府間対話を拒む姿勢を変えていない。秋の国際会議に合わせた日中首脳会談実現は、依然として見通せない状況だ。
政府はコメント控えつつ対話の意義強調
木原官房長官は29日の記者会見で、岩屋氏の一連の会談について「民間経済団体の動向であり、政府としてコメントは控える」と語った。日中友好団体「日本国際貿易促進協会」の会長として訪中していることを踏まえたものだ。一方で、「懸案や意見の相違があるからこそ、幅広い分野で重層的な意思疎通を行っていくことが重要だ」とも述べ、対話の意義を強調した。
政府間対話はほぼ「没交渉」の状態
両国の政府間対話は現在、船越健裕外務次官と呉江浩駐日大使のラインにほぼ限られ、「没交渉」(政府高官)に近い。日本の現職政治家に王氏や何立峰副首相が正式に会ったのは、昨年11月の首相答弁以降今回が初めてで、「良い傾向だ」(日本政府高官)と前向きに受け止める声もある。
だが、王氏や何氏は会談で、首相答弁の是正が関係改善の出発点だとの原則論を明確にした。外務省幹部は「中国の主張に大きな変化はない。今回で何かが動いたということはない」と予防線を張った。
中国側は非政府間対話には一定程度応じる
中国側は最近、日本の国会議員団の訪中を受け入れるなど、非政府間の対話には一定程度応じている。7月の国際会議で、日中外相会談に応じなかったのとは対照的だ。対中関係改善を訴える国会議員や経済界を取り込み、「高市政権に揺さぶりをかけている」(首相周辺)との見方もある。