内閣広報室が令和9年度予算の概算要求で、今年度の10倍となる約72億円を要求している背景について、自民党の平将明元デジタル相は20日のTBS系「サンデー・ジャポン」で、AIの普及による「認知戦に対する防御」の必要性を挙げた。
AIで「相場観」を一瞬に
認知戦は、偽情報などを通じて人々の心理や思考に影響を及ぼし、その行動を操ろうとする手法。平氏は約72億円の要求について「詳細は聞いていない」と断った上で、「新しい需要として、認知戦に対する防御が出てきている」と指摘した。
平氏は、偽・誤情報対策として従来は政府のウェブサイトで「それ違いますよ」と否定すれば対応できたと説明。現在は、AIを使い、人間ではない大量のアカウント群「ボットファーム」から「いいね」や「リポスト」を集中させ、「一瞬にして、ある事柄に対する相場観」を作れると紹介した。
平氏は「われわれが、人間ではないアカウントを抱えるわけにはいかない。多分、広告費でしか押し返せない」と強調した。
「陸海空ともう一個の分野」
平氏は認知戦について「陸海空ともう一個の分野が出てきている。安全保障上、極めて重要だ」と指摘。対抗手段を「ある程度は持っていないとやられてしまう」と説明した。
内閣広報室の予算増額について、木原稔官房長官は11日の記者会見で、動画やAIの活用で情報収集の方法が変化しているとして、「従来のやり方で幅広い世代に十分な情報を届けることは困難だ」と広報改革の必要性を強調した。
野党からは「プロパガンダ」批判
内閣広報室による約72億円の要求とは別に、内閣府も政府広報の経費として今年度の約79億円から約280億円への大幅な増額を要求している。一連の広報予算の増額方針を巡っては、一部の野党議員から批判も出ている。
社民党のラサール石井幹事長は19日の国会前の集会で、約280億円の政府広報予算を念頭に「一流企業の広告費ぐらいの値段だ。ほぼほぼプロパガンダだ」と批判した。
今回の政府の増額要求を巡っては、共同通信社も「国民生活よりプロパガンダ優先」「災害対策に使うべきだ」とSNS上で反発が広がっているとする記事を配信している。



