文部科学省は、全国の私立大学に積極的な資産運用を促すことを決め、22日にも各大学に通知する。少子化による大学進学者の大幅減少で学費収入の減少が避けられず、財源の多様化が急務となっているためだ。
政府が21日に閣議決定した「日本成長戦略」に大学の資産運用促進が盛り込まれたことを受け、損失のリスクがある投資を最小限に抑えるよう求めてきた従来の方針を事実上、転換する。
「預金・債券中心」から「リスク性資産への投資も」
文部科学省は、これまでの「預金・債券中心の安全性を重視した運用」から「株式などのリスク性資産への投資も含め、資産運用の促進・高度化」を図る必要があるとした。経済産業省と共同作成した、大学による資産運用の現状や適切な体制、留意点などを解説した「ガイドブック」も公表する。
17年ぶりの通知、背景に少子化と物価上昇
文科省が私立大の資産運用に関する通知を出すのは2009年以来、17年ぶり。当時はリーマン・ショック(08年秋)で多額の損失を出す私立大が相次いだことから、文科省は、株式など元本保証のない資産について「必要性やリスクを十分に考慮して慎重に取り扱うべきだ」としていた。
文科省によると、全国の私立大(609法人)の運用対象資産は24年度決算で計約10兆円で、その8割は預金と債券が占める。近年の物価上昇で実質的な資産価値が目減りし、将来の大学経営に影響する恐れも指摘されている。
収入の8割は授業料、資産運用収入は2%
私立大の収入の8割は授業料などの学生納付金だが、40年度の大学進学者数は現在より3割近い減少が見込まれる。資産運用による収入は24年度、約2%にとどまっており、財源の多様化が急務とされている。
文科省の23年調査によると、米国のハーバード大やエール大は資産運用収入が全収入の4割を占めた。日本でも積極的な資産運用を行う私立大はある。国際基督教大(東京)の場合、資産運用収入は25年度に全収入の3割超に上った。



