横浜市長選告示、前職・山中氏ら7人が立候補 パワハラ問題巡り論戦
横浜市長選告示、前職ら7人立候補 パワハラ問題巡り論戦

横浜市長選が4日告示され、前職と新顔の計7人が立候補を届け出た。党派別では、6人が無所属で1人が共産党公認。職員へのパワーハラスメントが認定され、辞職した前職の返り咲きの是非や再発防止策、市の歳入確保策や災害への備えなどを巡り、2週間の論戦が始まった。

投開票は18日で、期日前投票は5~17日。3日現在の選挙人名簿登録者数は314万5383人。当初、立候補表明をしていた人材紹介業の男性(50)は立候補を取りやめた。

前市長・山中氏、謝罪から出陣式

前市長の山中竹春氏(54)は中区の選挙事務所で出陣式を開いた。マイクは握らず、支持者らを前に「この度は本当に申し訳ございませんでした」と、パワハラ問題への謝罪から始めた。市長としての5年間を「横浜をカジノの街にしたくないという市民の思いに支えられてきた」と振り返り、「多くの方から政策を続けてほしいという声をいただき、(立候補の)後押しになった」と心中を明かした。「何の組織(の支え)もない」と現状を語り、「生活者目線の政策を一つ一つ積み重ねていく」と訴えた。出陣式には、山中氏に立候補を要請した横浜港運協会の幹部や市民団体の代表者らが参加した。

各候補が第一声、政策を訴える

市民団体代表の藤川祥子氏(51)は神奈川区の商業施設前で演説し、「医療、介護、教育、福祉に携わる方々の処遇改善、賃金をアップして、希望を持って働き続けることができる制度を、この横浜市から発信していきたい」と話した。地域の社会資本である分野に携わる人たちの賃金を上げることで、「年を取っても障がいがあっても豊かに安心して地域で過ごすことができる」と訴えた。山下埠頭再開発については、「カジノを止めた横浜市民だからこそ、その先に何を作るか、決定過程に携わっていくことが必要だ」と強調した。

前衆議院議員の中谷一馬氏(43)は、自身の地盤である港北区の日吉駅前で演説した。公約として「6つのゼロ」を掲げ、第2子以降の保育料ゼロや、給食費ゼロ、ハラスメントゼロ、カジノゼロなどを訴えた。選択的週休3日制の推進や、電子投票、自動運転の導入なども挙げ、「どの候補よりも充実したメニュー」と強調した。「風通しの良い、壁のない市政」を目指すとし、選挙期間中は選挙カーとして三輪自動車「トゥクトゥク」を使うとアピールした。

弁護士の原沢敦美氏(59)は中区のホールで出陣式を行い、司法修習の地だったという横浜地裁前で第一声を上げた。「今の横浜は市の職員が萎縮し、安心して仕事ができる環境ではない。市職員の笑顔を取り戻し、市民の笑顔につなげていく」と話した。出陣式には支援する自民、維新、国民民主、公明の国会議員や地方議員、経済団体幹部らがずらりと顔をそろえた。自民党市連の佐藤茂会長は「万が一元のかたに戻ることがあれば、市議会を解散し、また市長選になるかもしれない。横浜市は大混乱に陥る」と訴えた。

財政危機や人権、地域社会を訴え

会社経営者の福山敦士氏(37)は出身の青葉区にあるたまプラーザ駅前で第一声を上げた。「今回は市の経営者を選ぶ選挙」「市の財政は危機にひんしている」と語り、市民税中心の財政構造の問題を指摘。「安心を守るため大切な問題から目を背けずやり抜く」と言い、重点投資は「子育て政策に」と訴えた。母子家庭で困窮した経験から「困っている人の気持ちが分かる。人としての倫理観を持って(市民や職員)一人ひとりと向き合う」と語った。推薦した参政党の国会議員が応援演説をし、党の支持者らも手伝ったり拍手をしたりしていた。

建築家の山本理顕氏(81)は神奈川区の事務所で記者会見し、立候補を表明した。4日の街頭演説は控えるとした。「住まいは人権。快適な住まいに住む権利がある」として活動してきたが、国の施策によりディベロッパーによる超高層マンション建設が進んだとして、「街と経済が壊されてしまった」と感じ、立候補を決めたという。市民が快適な住宅に住めるよう、町屋のような職住一体形の住宅や、町内会ごとにサロンをつくるなどして、「未来の横浜に、助け合って住む地域社会をつくりたい」と話した。

共産党県委員会副委員長の浅賀由香氏(46)はJR横浜駅近くでマイクを握った。浅賀氏は「市長のパワハラ辞任で行われる選挙。問われるべきは次の市長が個人の尊厳を守り、自分の政治の根本を人権を守る立場に置くことができるかだ」と話した。「横浜を世界水準の人権都市にしたい」として、朝鮮学校への補助金再開や差別禁止条例の制定を挙げた。そのほか、全避難所へのエアコン設置や温かい中学給食の実施、ノース・ドッグなど米軍基地の全面返還などを政策として訴えた。