夏休みを控え、学校では1学期の終業式が行われる時期。学業の成績や生活態度の評価を記した通知表に一喜一憂する親子も多い。一方、全国の小学校の中には通知表を廃止する動きがあり、読売新聞のユーザー投稿サイト「発言小町」には、その是非を問うトピックが寄せられた。
通知表廃止の背景と現状
キャリアコンサルタントで自社の採用業務も担当する投稿者の「iwa」さんは、通知表を廃止する自治体や学校があることをニュースで知った。娘2人は成人したため直接の影響はないが、「小さいころから自分の行動や発言がどんな評価を得るのかについては、知っておくほうが良いのではないか」と疑問を抱く。通知表に悪いことが書かれている前提でやめようとしているのかもしれないが、それではほかの子にはない良いところを伝えるすべもなくなる気がすると、釈然としない様子だ。
通知表は、学校での児童・生徒の学習面と生活面の状況を家庭に連絡する方法の一つ。作成は任意で、様式や内容、配布頻度は学校長の裁量に任されているが、全国のほとんどの小学校で慣習的に作成され、学期ごとに配布されている。廃止の理由としては、(1)学習面で悪い評価を受けた児童が「自分は勉強ができない」と決めつけて劣等感を抱かないようにする(2)教師が通知表作成に費やす時間を子どもと向き合う時間に振り分ける(3)児童間の序列につながらないようにする——などが挙げられる。
実際に通知表を廃止したケースは以下の通り。
- 神奈川県茅ヶ崎市立香川小学校=全学年(2020年度から)
- 東京都新宿区立西新宿小学校=全学年(2023年度から)
- 岐阜県美濃市・小学校=1年(2025年度から)、2年(2026年度から)
- 静岡県掛川市・小学校=1年~3年(2026年度から)、4年(2027年度から)
通知表必要論「評価を知るべき」
発言小町では、「蒼」さんが「そもそも勉強ができる親子はそんなこと考えない」と断言。「できないから、(通知表が)ない方がいいとか言い出す。子どもは通知表見せあったりしちゃうからね」と、勉強ができない子どもへの過度な配慮だと指摘し、「勉強したらいいだけ。できないなら勉強以外で幸せになれることを親が模索してあげたらいいだけ」と突き放す。
「匿名mama」さんも「通知表は必要」と主張。教師のバイアスのかかった評価方法には課題があるとしつつも、「通知表をつけなくていいなら、教師は子どもを注意深く観察することはない」と懸念を示す。「きちんと学習の習熟度を本人や保護者に正確に伝えるアイテムとして有効化できるなら必要でしょう」と意義を強調した。
通知表不要論「先生の負担を考えて」
一方、通知表は不要だというコメントも目立った。「小学校の通知表でしたら、私は不要だと思います」と言い切った「ヨーコ」さん。自身の子どもはすでに成人しているが、「通知表の評価の項目については『?』と思うことが多かった。あいまいだし、意味がないと思うような項目が多すぎる」と振り返る。
「くるる」さんも「必要ない」と言い、「パッと見る程度で、良くも悪くも気にしてないからです」とコメント。子どもの言動の良い面、悪い面については個人懇談で担任教師から聞く機会があるとし、「先生の負担を考えて(通知表は)必要ないです」と述べた。
小学生の子どもがいる「現役母」さんも「私は通知表いらないです。子どもが持って帰ってきてもあんまり見ていません」と興味がない様子。「親としては『どの単元ができていないのか』が知りたいので、通知表よりテストの点数が知りたいですね」とテスト重視の姿勢。学力以外の学校生活の様子も気になるが、「最近の通知表には、そういう人物評価的な部分はほとんどないのでね……」と物足りなさを感じ、「私は『こんな係をやりました、こんな活動をしました』みたいな部分をもっと掘り下げて知りたい」と内容改善を求めた。
通知表がなくても評価は続く
「くるみ」さんは、自身の子どもが低学年だったころのエピソードを紹介。国語の問題で、文章に書かれていないことでも空想と自分が感じた答えを書いた子どもに対し、担任の先生は「この子はこのままでいいんです」と、のびのびと解答させてくれたという。その後、成長した子どもは中学・高校で国語の成績がトップだった。「間違っていても(失敗をおそれない)、自分で考えること、頭を使うことが大切なら、『通知表はつけられないよね』と思いました」と実感を込めた。
小学校低学年で通知表廃止の動きは広がりつつあるが、子どもたちへの評価や成績がなくなるわけではない。通知表であれ、テストの点数であれ、子どもの能力を伸ばすきっかけとして、「2学期はもっとがんばろう」「次はもうひとつ上を目指そう」と、目標設定や奮起につなげられるといい。(読売新聞メディア局 鈴木幸大)



