茨城県内で数少ない人口増加自治体である守谷市が、人口減少を前提とした市政運営へと転換する。良好な住環境を整備して人口増加を進めてきた従来の政策から一転し、今後は人口減少に適応した社会を目指す「スマートシュリンク」へ政策の軸足を移すという。
人口増加の一方で減少局面が目前に
県の常住人口調査によると、守谷市の人口は7万97人(1月1日時点)で、5年前から2・3%(1568人)増えた。県内44市町村で人口が増えたのは守谷市を含めて4市町のみ。守谷市は、つくばエクスプレス(TX)で東京都心まで30分台で行き来ができるなどの好立地ぶりで人気を誇っている。
人口増加が続く一方で出生数は減少傾向にあり、市の推計では2029年前後を境に人口は減少局面に入る見通しだ。松丸修久市長は「日本全体で人口が減っていくトレンドは変わらないなか、地方自治体が大きくなることは考えられない」と強調。今年度末にも公表する第3次市総合計画(後期基本計画)に具体的な方向性を明記する方針だ。
「成長をあきらめるのではなく」市長の説明
松丸市長は「(人口増を目指さないことは)成長をあきらめるのではなく、メリハリを付けた行政運営で、住民福祉を高めるための予算配分をしたい。選ばれる街であり続けるための施策だ」と説明する。デジタル技術の導入により職員数を削減して行政組織の運営コストを削減する「ダウンサイジング・イノベーション」を進めるとした。
市では今年4月、企画課内に組織戦略室を新設し、2年かけて各部署の業務を見直す計画だ。「行政の効率化を図り市民サービスを量から質に転換する」。すでに市役所の窓口時間を短縮し、住民票など証明書の取得はコンビニでの取得を呼びかける。インフラ面でも市では常磐道をまたぐ市道(跨道橋)のうち交通量の少ないものの撤去などを検討している。
「右肩上がりの今だからこそ対策を」
一方で松丸市長は「政治に夢は必要で、将来に対する投資的な部分は積極的にやっていく」とも言及。そのためにも行政サービスを合理化して財源を作り出す必要があると指摘する。
「人口が下がり出したら対応に追われて何もできなくなる。右肩上がりの今だからこそ対策をやらないといけない」と述べている。