奈良市は19日、新たに建設を計画する新ごみ処理施設(クリーンセンター)の移転先について、2つの候補地のうち「北之庄町」地区を選んだと発表した。平成17年以降、現在のごみ処理施設の老朽化などを理由に移転先を検討してきたが、20年の紆余曲折を経て最終的に絞り込んだ。新施設は10年後の令和18(2036)年をめどに稼働開始を目指す。
市長が移転先決定の理由を説明
仲川げん市長は19日の臨時記者会見で、もう一つの移転候補地だった大和田町には「圧倒的に優位なものがない」と述べた。北之庄町を選んだ理由として、新施設稼働までの工期やオオタカの営巣など自然環境への影響面で「目立ったリスク(危険性)がない」と説明。両町とも朝の通勤時などに車の渋滞が発生するが、北之庄町は「代替路が確保できる」とした。
初期投資や稼働後20年間に必要な費用の試算でも、北之庄町は約1094億円で、大和田町の約1110億円に比べて「ややコストは安い」と強調した。
住民への説明と今後のまちづくり
市によると、仲川市長らは18日夜、大和郡山市に近い奈良市南部にある北之庄町の地元自治会などに、移転先に選んだことを説明した。仲川市長は「10年後をめどに新施設の稼働を目指す」とし、住民らにとってメリットがある防災施設などの整備も含め「ごみを燃やす施設だけでなく、産業など市の活性化につながるまちづくりをする」との考えを示した。
決定までの経緯
新ごみ処理場の移転先をめぐっては、現在の清掃工場がある市北部の左京地区住民らと平成17年に公害調停を締結したため、他の市町村との広域処理も含めた移転先を検討してきた。ただ住民や議会などの理解が得られず、移転先候補の見直しを余儀なくされた。
令和7年6月、再検討を進めた有識者らでつくる策定委員会が「七条町」「北之庄町」「大和田町」の3カ所を移転先候補として市に答申。市議会での議論で「北之庄町」「大和田町」の2カ所に絞られ、市が最終的な移転先として「北之庄町」に決定した。