ロシアによるウクライナ侵攻をはじめ、世界各地で相次ぐ戦争が技術革新を引き起こし、無人機(ドローン)や人工知能(AI)が重要な役割を果たす「新しい戦い方」が生まれている。防衛省で長年、防衛分野の科学技術の研究開発に携わってきた渡辺秀明・元防衛装備庁長官は、この変化が日本の安全保障に与える影響について、無人機による攻撃への懸念と日本の対応の遅れを指摘した。
無人機が戦場を変えた
渡辺氏は、ウクライナ戦争で最も重要な変化は無人機が非常に大きな役割を果たすようになったことだと述べる。ロシアによる侵攻以前から、トルコ製無人機「バイラクタルTB2」に注目していたといい、2020年のナゴルノ・カラバフ紛争でアゼルバイジャンが使用し活躍したこと、その後ウクライナがTB2を多数購入したことから、ロシアとの戦いが近いと感じたという。侵攻開始後、ウクライナはTB2を効果的に使い、ロシア軍の装甲車両への攻撃を行った。
進化する無人機技術
無人機の技術は現在も進化を続けており、特に多数の無人機が群れとなって動く「スウォーム」技術が発達している。多数の無人機が一斉に飛来すれば、オペレーターが一機ずつ判断して対応するのは困難となる。
また、電波妨害を避けるため、光ファイバーで操縦側と物理的につながった無人機も登場している。通常の無人機は無線通信を妨害されると操縦不能になるが、光ファイバー通信なら妨害を受けず、機体に光ファイバーをつけたまま10キロ、20キロと飛行できる。さらにAI搭載で自律飛行が可能になれば、光ファイバーは不要になるとみられる。ロシアがイラン製「シャヘド」を改良した「ゲラン2」は、AI化しているとの見方もある。
日本への脅威と懸念
無人機の中には2千~2400キロ飛行できるものもあり、弾頭を積んだ無人機が日本に飛来して電力施設などのインフラを攻撃すれば、相当な被害が出る恐れがある。無人機が低空を飛ぶ場合、レーダーで捉えるのも難しくなる。渡辺氏は、日本は現在、安全保障上は平時と有事の間のグレーゾーンにあると考える。
この記事は有料記事であり、続きは有料会員向けとなっている。